娘が母にぶち切れ、長引く不仲に打開策はあるのか?
2018.7.3 (2018.7.5更新)
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娘が母にぶち切れ、長引く不仲に打開策はあるのか?
「最近、娘の顔を見ていません。向うが私を避けているので」「娘は私のこと、絶対拒否しています。話しかけても完全無視です」
このようなお話しをされる母親クライアントさん、とても多いです。「うちだけなぜ、こんなに…」と途方に暮れる方もおられるのですが、珍しいことではないのです。
クライアントさんお一人お一人の状況を伺うと、娘さんとの信頼関係が崩れてしまっているところが大半です。
静岡県在住のTさん(50代)は大学4年の娘さんのことで相談に来られました。現在、就活中で内定をもらっているのですが、第一希望ではないため今も継続中とのこと。
Tさんと娘さんとの間がこじれ始めたのは今年に入ってからです。第一希望だった企業から内定をもらえず、娘さんが落ち込んでいた時にTさんは次のように声をかけたといいます。
「大丈夫よ、なんとかなるから。大学だって第一希望ではなかったけれど、こうして4年生になれたじゃない」
この言葉に、娘さんの形相はみるみる険しくなり、バタンとドアを閉めて出て行ってしまいました。
そのときからです。娘さんが口をきかないようになったのは。
Tさんは、娘さんを励ますつもりで言ったのですが、逆に傷つけてしまったことに最初は気づいていませんでした。どうせしばらくしたらまた話すようになるだろうと高を括っていたのです。
けれどもその後も娘さんから話しかけてくることはなく、さすがに焦り始めたのか私のカウンセリングルームに来られたのです。
Tさんは「あの時、私があんなふうに言ったから」と何度も言われます。「大学だって第一希望では~」の言葉です。
でも…。その言葉だけに娘さんは激怒し、そして1カ月以上も口をきかないのでしょうか。
実は、このようなケースを私は幾度も見てきました。
母親の大半は、自分が言った不用意な言葉が娘を傷つけてしまった、怒らせてしまったと思い込んでいるのです。そして、そのことについて謝ろうとするのですが、娘さんの心には届かないのです。
なぜなら、娘さんは母親のひと言にぶち切れたわけではないのです。今までの母親との関係性があって、それがいっぱいいっぱいになってしまってついに爆発したとも考えられるのです。
コップの水があふれてしまったというような。
つまり、そのひと言だけではすまされない。今までずっと我慢し続けてきたけれど、あるとき心の糸がプッツンと切れてしまう。それが今回の言葉だとすると、たんにきっかけに過ぎないのです。
母親は自分の言った事で「あの子、なんであんなにカッカしているのかしら」ぐらいに済ませようとするけれど、娘さんの方では長年にわたる母親への苦い思い、苦しみ、我慢、恨みがここにきてあふれ出てしまったという事なのです。
この認識のズレを母親は理解する必要があります。なぜなら、それを知らないまま、娘さんとの不仲を修復しようとしても無理だからです。
というか、認識しないままでは、娘さんが今後心を開いてくれる可能性は低いでしょう。
Tさんは、娘さんが幼い頃から褒めるよりはけなすような言葉をかけていました。
小学生当時、庭に咲いていたチューリップの花を娘さんが写生したときは、「あら、これがチューリップなの?」とゲラゲラ笑ったりしたそうです。
またTさんと夫の関係がうまくいっておらず、食事時もテレビの音だけが流れる中、娘さんはなんとか場をとりつくろうと一生懸命学校の話をしたりしていたのですが、「あんた、本当におしゃべりね」と途中でさえぎったりしていたのでした。
Tさんは自分の言動が娘を傷つけてしまっていることに全く気づいていませんでした。自分はよい母親であり、娘との関係は良好と思い込んでいたのです。
一方、娘さんは母親が放った言葉により受けた傷を溜め込んでいました。「お母さん、そんな風に私のことを言わないでよ」とは言えず、複雑な思いだけが積もっていったのです。
母親の方では自分と娘とのコミュニケーションはちゃんとできていると信じ込んでいるのですが、娘は不信を募らせていたのです。
Tさんは娘とすぐにでも仲直りできるだろうと楽観的だったのですが、私のカウンセリングルームに来られて娘さんの幼かった頃の話をされてから、事はそんなに甘くないと認識されたようです。
「いつまでこの状態が続くのでしょうか」というTさん。これからも娘さんに対する態度を変えない限り、現状維持の可能性は高くなります。
「娘とまた以前のように話しができるようになりたいのです」。
そう言われるお気持ちもよく理解できます。
でも、それを実現させる前によく考えて頂きたいのです。そもそもこのような関係になってしまった原因は何なのでしょうか。
何年も蓄積されていた娘さんの思いは、そんなにたやすく崩せると思えますか。
時間がかかってできあがった関係性は、それを変える場合、やはりそれだけの時間がかかります。
ここで大事なのは、Tさんが娘さんに対して行ってきた今までのことを振り返り、関係性を変えようとご自分で思って頂くことです。それを娘さんが理解し、「お母さん、以前と変わった」と実感して頂かなければなりません。それが頑なになっている娘さんの心を、また態度を変えることにつながります。
人の心は一朝一夕には変わりません。でも、だからといってあきらめる必要はありません。
なぜなら、人の脳も感情も日々揺らいでいます。人は前日と全く同じわけではありません。つねに私達は何かから学び昨日よりも今日、今日よりも明日をもっと前進させたいと強く願っています。それは現状よりもっと変わりたいという強い願いでもあるのです。
母親が今までの娘さんとの関係性を振り返り、現状を変えたいと強く願ったらそれは自分の言動に必ず現れます。そして、娘さんはそのことに気づきます。必ず。
母親が変わったと認識すれば、娘さんの感情の部分も変化します。娘さんだって、母親との現在の関係、膠着状態をよしと思っているわけではないからです。
さて、それでは母親はどのように変わったらいいのでしょうか。
「私、変わりたいのです」と言うクライアントさんは数多くおられます。
それは生き方でしょうか? 考え方? 話し方? 人との接し方?
自分は変わりたいと強く願っても、いざとなるとどこから、どのように変わったらいいのかわからない。
多くの人がそこで立ち止まってしまうのです。
私はこのような場合、次のようにお伝えすることがあります。
「いきなり、変わるなんて言っても無理でしょう。何十年という積み重ねがあって今のあなたが存在されるのですから」
人は翌日から生まれ変わって別人になるのは不可能です。
それならばどうすれば?
小さなことからでよいのです。まずは日々の言葉のフレーズをほんの少しだけ変えてみましょう。
「ああー、もうやだ!」このフレーズが口癖になっているのなら、それを少しだけ変えてみます。
「この状況、OK」というように。もしかしてOKではないかも。大変な状況かもしれません。それでも、言ってみるのです。
「この状況、OK」「この状況、大丈夫」と。
この言い回しを変えてみるという方法、実に不思議な効果が現れます。
状況に対する見方が少しずれてくるのです。
「本当にそうなる?」と疑いの気持ちが100%あったら、早速試してみてください。
ただ、これって一人で続けていくのに、ときに誘惑の声がかかることもあります。
「そんなことしたって無駄だよ」というささやきが聞こえてくることも。
何度も言うようですが、自分を変えるのはたやすいことではありません。けれども、娘さんとの関係性を何とか変えたいと必死に願うのであれば、他に方法があればともかく、具体的行動に移すときです。
Tさんには、普段から口にしているフレーズを書き出して頂きました。カウンセリングに来られたとき、そのリストを持ってこられたのですが茫然としておられました。
「真香さん、私、毎日こんなことを繰り返し言っていたのですね。こんな言葉を毎日、聞かされて、娘をはじめ家族はみんな嫌な思いをしながら暮らしていたのですね」
そこからTさんは少しずつ、言い回しを変えるようにしました。口癖やフレーズは長年の習慣なのですぐに変えることはできないのですが、それでも見下したような言葉、不愉快にさせるような言葉に気づき、それを言わないように気を付けるようになったのです。
そこから、娘さんとは通常の話ができるまでとはいきませんが、ほんの少し目を合わせてくれるようになったと次のカウンセリングで嬉しそうに話してくれました。
自分が変わる。
それはほんの少しの小さな一歩でよいのです。
もちろん、カウンセリングを通して、あなた自身が変わることに私もサポートさせて頂きます。
一人で地道にやるのもいいけれど、二人三脚で進む方が時間、エネルギー消耗の度合いが違ってきます。
私はいつでも、カウンセリングルームで二人三脚の準備をしています。
お知らせ
今月七夕の日に母娘問題講座第1回を開催します。
「母親の感情に振り回されないようになるための5原則」
日時 2018年7月7日(土)
場所 広尾ルーム(港区南麻布4-5-48)
フォーサイト南麻布セミナールームD
参加費 3000円(当日お支払、釣銭はありません。ご準備ください)
申し込み・問い合わせ 私のHPよりお願い致します。もしくはお電話で直接お申込みください。
母娘問題講座は今後月1回定期的に開催します。次回は8月4日土曜日、開催場所、時間は同じです。
母娘関係改善カウンセラー横山真香 横浜元町&東京広尾ルーム
テーマ: コミュニケーション
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