父への怒りを母にぶつける娘
2023.8.24
父への怒りを母にぶつける娘
母娘関係改善カウンセラーの横山真香です。
父親と娘。両者の関係もまた複雑な問題が絡んでいる場合があります。私は、母娘問題に特化したカウンセリングを行っておりますが、ケースの多くで、父親が影響していると考えます。
どういう状態を表しているのか、まずはブログ記事をお読みください。
目次
・父親が大嫌いな娘
娘が父親を嫌いというのは割によくある話です。思春期には嫌いのレベルがMAXになりがちですが、成長とともに父親に対する見方も変わり、成人すればたまに話をすることも。父親には、就活で企業に関する情報をたずねたり、社会人になれば、会社組織の悩みを相談することで、「お父さん、すごい」と見直すこともあります。
結婚が決まり、挙式でバージンロードを歩く時は父娘、ともに涙する、といったエピソードも聞きますが、一方、大人になっても父親のことは大嫌いという娘も多いです。
帰宅した父親の、玄関を開ける音がしただけで、それまでリビングでくつろいでいた娘がさっと立ち上がり自室へ向かう。食事の時も目を合わせないし、まして会話は一切なし。娘と母親が話す。母親が父親と話す。会話も途切れがちです。
このような状況になってしまったのには、それなりの理由があります。
・育児放棄の夫、娘に無関心
子供が産まれても、仕事が忙しいという理由でほぼ育児に関わろうとしない夫。夜でも休日でも、子供の泣き声がすれば、うるさい、眠れない、と悪態をつき、「車で寝る」と外に出て行ってしまう。
幼稚園や小学校に入って、運動会などの行事もほとんど興味を示さないどころか、そもそも娘に関心を持たない。娘が「パパ」と近寄っていっても、スマホに夢中で相手もしない。
そんな父親の態度を見れば、「自分に関心がない」ということぐらい、幼い娘の方でもわかってくる。思春期ともなれば、父親は透明人間のようなものだ。すれ違いが多く、土日に顔を合わせたとしても、共通の話題もなく、会話ができない。
・関心がないのに、怒り出すのがウザい
普段は、ほとんど関心がないのに、たまたま見かけた娘の行動に対して、いきなり怒ってくる。「いつまでゲームやっているんだ!」「こんなに遅くまでスマホで話しているんじゃない!」。ノックもせず、大声で娘の部屋に入って怒鳴なり、スマホで話していた相手にまで聞こえてしまう。
もともと、コミュニケーションがあるわけではなく、父親が声をかけてくるとしたら、叱責か非難ばかりなので、娘の方はほぼ心を閉ざしてしまうようになる。
しかも、父親は一方的に叱ったあとは、「なんでこんな事で怒らせるんだ」と捨て台詞を吐いて、出て行ってしまうので、話し合いにもならない。
娘も、小学生の頃は、そんな父親のことを怖く思っていたが、思春期になると、怖れが軽蔑に変わる。「あいつ、親なんかじゃないから」、「死ねばいい、ウザい」。こうした言葉が出てくるようになる。
・父親への憎悪がくすぶる
こうなると、父親へは憎しみが膨らんでいく。優しい言葉をかけられたこともなく、甘えることもできなかった。愛情は感じられず、むしろ、邪魔者扱いされている気分になることもあった。
そんな父親への怒りを、言葉にして発することができないもどかしさが娘を苦しませることになる。
父親は、娘がこれほどの憎悪を自分に向けていることなど、これっぽっちも気づいていない。無視されているような気はするものの、自分からも話しかけることはないので、それはそれで楽だと思っている。父と娘なんてこんなものだと。
一方、娘の方は、心の内にある怒りを父親に知らしめたい思いがある。そして、あからさまに無視しているのだが、父親は全く気にしていない様子で、そこにまた腹が立つのである。
・母親から、父親に言って欲しいという娘
こうなると、父親への怒りを伝えてもらうには、母親しかいない、ということになる。そこで、娘はことあるごとに、母親に「お父さんがまた、ひどいことを言ったから、お母さんから注意してよ」と詰め寄る。
娘からきつく言われると、夫に対して言わざるをえない。しかし、「〇〇が怒っているわよ」と言ったところで、父親は全く意に介せず、知らぬふりを決め込んでいる。
そこで娘は怒りを爆発させる。しかし、その相手は母親に、なのだ。
「あいつにちゃんと言ったの? 私の気持ちを」。「何も感じてないみたいじゃないの」、それがエスカレートすると、「どうしてあんな奴と結婚したのよ」。「お母さんが何も言わないからつけあがるんだよ」、といったように、怒りの対象が母親になってしまうのである。
もともと、家族とはいっても、父親の存在はほぼなく、母親が一人で子育てをしてきた。家庭を顧みない夫の悪口をずっと娘に聞かせてきたのは、母親。
娘の教育、心身の成長、相談にのってほしいのに、「忙しい」の一点張りで、全く関心を示さない夫に、怒っていたのはむしろ、母親の方だった。
けれども、いつしか、何も期待しない、あきらめの境地になってからは、夫のことが無関心になっていった。元気で働き続けてくれさえいればいい。生活費をきちとん入れてくれればいい。そんな気持ちから住居を共にしている人、ぐらいの感覚で今は接することができるようになっている。
・解消できない怒りを母親に向ける
娘にしてみれば、幼い頃からずっと父親の悪口を聞かされ、悪いイメージが作り上げられている上に、自身も理不尽な対応を受けているので、怒りが倍増している。しかし、ずっと非難し続けてきた母親が、ここ最近は、なぜか父親を悪く言わなくなっている。それは、夫婦仲がよくなったというよりは、夫に対して、何も感じないようになってしまったというのが事実なのだが。
娘はそれも面白くない。散々、愚痴ってきたのに、今では娘の怒りに付き合うのがなんとなく面倒そうなのがわかるのだ。
そうなると、娘の怒りは、父親ばかりでなく、母親にも向かうようになる。夫婦で外出しようものなら、母親にくってかかるようになるのだ。「あれだけ、悪く言っておきながら、二人で外食?! 信じられない!」
なんとか娘を取りなそうとするが、それも裏目に出てしまう。「私を味方につけたくて、あれだけ悪く言っておきながら、そんなことはもう忘れたの? 今まで散々聞かされてきた愚痴の時間、返してよ!」
激怒する娘に、母親もうんざりするように。20代なのに、いつも親のことで怒っている娘を見ていると、もっと他に楽しいことはないのかと思ってしまう。
確かに、夫の悪口を言い続けてきたのは自分だけど、娘が本当に怒っているのは夫にであって、どうして母親に当たるのだろうか。
・仲を取り持とうとはしないこと
実際、このような状況になると、何とかして夫と娘の間を取り持とうとする人もいます。娘が夫を悪く思うようになったのは、私のせいでもある、という理由から、家族関係を修復させようと試みるのですが、これは結構難しいです。
こうした状況になったのは、夫の無関心も一因です。育児に、家事に大変な妻をサポートしない。子供ともコミュニケーションを取ろうとしない。家族との関わりを、自分から断ってしまっている。
娘は、こうした父親に対して怒りがあるわけで、夫と娘の問題と捉えるべきではないでしょうか。夫の悪口をずっと聞かせてしまった後悔はあるものの、母親が罪悪感から、間を取り持つというのはどうなのでしょうか。
娘が向き合うべきなのは、自分の中にある父親への未消化のままの怒りです。そこに、母親の存在があると、怒りは向けやすい方に向かってしまいます。誰に対しての怒りなのか、どうしたらこの感情を自分なりに手当ができるのか、といった方向性を見失い、母親が表に立たされてしまうことになります。それを避けるためにも、母親は二人の板挟みという立ち位置からは抜けた方がよいのではないでしょうか。
今回のブログ記事を最後までお読み頂き、ありがとうございます
もし、同じような状況にあると思われた方は、一度、私のカウンセリングで、状況を客観的にご覧になり、今後の方向性を考えてみてはいかがでしょうか。
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テーマ: 父親との関係性
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