「お母さんが変わってくれたら」を繰り返す娘に母親は?
2022.6.27
目次
「お母さんが変わってくれたら」を繰り返す娘に母親は?
母娘関係改善カウンセラーの横山真香です。
・「お母さんこそ変わってくれたら」を連発する娘
「お母さんが変わってよ。変わってくれないから、私、苦しいのよ」。また娘の同じセリフが繰り返されます。
20代の娘は、口論になると決まって、母親に変わって欲しい、を繰り返します。
母親のクライアントさんがこのような話をされると、私の中には「あ、同じケース」だという思いが強くなります。
母親に変わってほしいとと言う娘は多いのです。これを言われると、「私が変わるべき? どんな母親になればいいの? どうやって?」と動揺する人がほとんどです。
娘は子供の頃から友人とうまくコミュニケーションを取ることができなかった。大人になっても、仕事や交際相手との関係がスムーズにいっていないようだ。こうした悩みを抱えている娘が、「お母さんが変わってよ」と言うのは、母親に問題があると思っているのだろうか。
それなら、自分(母親)が変わることで娘を取り巻く環境や、親子の関係が改善されればよいと思う気持ちが強く働き、どんなふうに変わればよいのか、母親はそこに一生懸命になってしまうのです。
・母親ロボットになればいいの?
「自分が変わらなければならない」。多くの母親クライアントさんが最初に思い浮かべるのは、娘の期待するよう返事をして、行動できればということです。けれども、そうしようと思っても、できないのです。
カウンセリングが始まると、クライアントさんの第一声は、「娘から、お母さんが変わるように、と言われました。そこで、『どんなふうになればいいの?』と聞いたら、『そんなこともわからないのか!』と言われてしまって…」といった内容です。
毎回、こうした会話が繰り返され、娘の苛立ちがエスカレートしていきます。母親は、娘から何か言われたとき、期待する答、正解を言わなければいけないと思い、固まってしまうのです。
母親のぎこちない受け答えや動作が、娘の怒りにつながり、結局、責められる。
「娘の、『お母さんが変ってよ』は、私がどのように変わればよいということなのでしょうか?」
娘の理想とする母親像、ロボットのようになることを要求されているのでしょうか。
・私を否定しないで、認めて
しかし、さらにお話しを伺ってみると、母親がどのように変わってほしいのか、娘が具体的に言うこともあります。共通しているのが、次の言葉です。
「私を否定しないで。認めてよ」。
これを言われると、ほとんどの母親が驚きます。なぜなら、娘を否定しているとは思ってもいないからです。
「どうして、そんなことを言うの? お母さんはいつだって、あなたのやりたいようにしなさいと言っているじゃない。ダメだといったことなんてないじゃない」
だいたい、娘が20代にもなれば、親がダメと言ったとしても、連絡も寄こさず外泊するなど好き勝手にしている場合が多いのです。
・娘の言う「否定」とは?
それなのに、娘が「否定しないで」と言うのは、もっと自由になりたい、何も言うな、ということなのでしょうか。
ここに、母親の大きな勘違いがあります。それは、否定というのは、あれをしてはダメ、これもダメ、といった行動の否定ではなく、娘のパーソナリティを否定しているということなのです。
もちろん、母親にしたら、娘のパーソナリティの否定など、もっとしていないと思うでしょう。
「『あなたはどうしようもない人間』だとか、性格を否定するようなことは言った覚えがありません。小さかった頃、『そんなこともできないの?』ぐらいは言ったかもしれませんが」と話す母親がほとんどです。
娘はなぜ、今も母親から否定されていると思っているのでしょうか。
・娘が感じているのは、自分は受け入れられていない
娘が、母親から否定されていると言うのは、「自分は受け入れられていないのでは」といった不安感が心の底にあります。
親に受け入れられていないような自分なら、他人、つまり友人や彼氏なんてよけい、私のことを認めてくれるわけがない。この自己肯定感の低さが、大きなプレッシャーとなっています。
だからこそ、母親が受け入れるようになってくれたら、自分に自信がもてるようになり、人間関係や仕事もうまくいくようになるかも、と期待するのです。
つまり、生きづらさやうまくいかないもどかしさを変えるきっかけとなるのが、母親が認めてくれること、と娘は思い込んでいます。だからこそ、母親に変わって欲しいのです。
母親が変り、自分との関係性に変化が生じたら、人生がうまく展開すると信じているのです。
そして、その確証が欲しいのです。
・本当に娘を受け入れている?
自分が認められているといった確かな手ごたえ。これを娘が感じてくれるように、母親は言葉がけをし、行動しなければいけない。
正直、この課題をクリアするのは難しいでしょう。なぜなら、どんなことを言ったとしても、娘の方が母親を信頼していないからです。
娘は、母親が自分の表情をうかがっていると思い込んでいます。いつも娘の気に入るような受け答えしようと、母親が内心ビクビクしているのがわかるのです。
なぜなら、部屋に入ったとたん、母親の身体がピクッと緊張し、こちらに向けた笑顔がとってつけたように見えるからです。
・娘に対する本当の気持ちは
カウンセリングでご自分の気持ちを話していくうちに、娘に対して実はどう思っているのかを、自覚される方が多いです。
それまでは、母親である私が娘を何とかしてあげなきゃ、とか、娘が変われ、と言ってくるのだからそれに応えることで、関係性が変わる、と思っていらっしゃる方がほとんどです。
けれども、自分と向き合い、心の底にある思いを言葉にしていくことで、娘に対して持っている怖れや嫌悪感、逃げ出したい、離れたいといった感情が沸き起こってくるのです。
大事なのは、まさか娘のことをこんな風に思っているわけはないと打ち消そうとするのではなく、正直に認めることです。
母親は娘を受け入れているというよりは、娘とのやりとりがしんどい、難しいと感じているのです。それを隠そうとするから、ぎこちない動きとなってしまうのです。
・母親が変わる必要はない
ご自分と向き合い、底にある感情を知ってしまった母親クライアントさん達は、カウンセリングを終えられるとなぜか、ホッとした表情になっています。それは、解放感からくるものでしょう。
母親が娘のことを受け入れてやれなくたっていいんだ。親子といったって、それぞれの相性がある。合う、合わないはお互いの性格もあるし、それを無理して合わせる必要はない。
だからといって、娘のことを無視し、拒絶するわけではないのです。この娘とは合わない、と、自分を許すことで、肝が据わります。
相性が合わない自分と娘が今後、どうやって関係性を築いていけばよいのか、そこに焦点を合わせればよいのです。仲良しべったり親子のふりをする必要はありません。
だから、母親は変わらなくてもよいのです。本当に重要なのは、娘が、母親は変わらないのだとあきらめること。そして、人生が行き詰っているように感じるならば、自分の考え方、物事の捉え方を変える努力をすればよいのです。
ここまでお読み頂いて、内容がご自分と重なるようでしたら、お気持ちの切り替えをしてみてください。それでも、なかなかそれがだきないときは、私のカウンセリングもご検討下さい。
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