家族との食事を嫌がり、自室で食べる娘の思いとは
2021.8.22
目次
家族との食事を嫌がり、自室で食べる娘の思いとは
母娘関係改善カウンセラーの横山真香です
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夕食を自室で取るようになった娘
夕食は家族団らんの大切な機会。だからこそ、仕事から帰って疲れていても、美味しいものを作って一緒に食べたい。そんな気持ちで日々、台所に立つ人もいるかもしれません。
もちろん、平日は仕事や学校、塾などもあって、家族が一緒に食事を取るのはなかなか難しいかもしれませんが、せめて週末ぐらいは顔を合せたいものです。ところが、それを嫌がって自室で食事するといった娘もいるのです。
最近、このようなご相談が増えているように思います。なぜ、娘は家族と一緒に食事を取ることを嫌がるのでしょうか。
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塾で帰りが遅い
私のところに相談に来られたクライアントのMさんは、娘が自室で食事を取りたいと言い出したのは高校2年の夏休みからと言います。部活が忙しく、帰宅してから勉強もしなければいけない。時間が惜しいので、自室で勉強しながら夕飯を食べたいと言う娘に、Mさんは「頑張っているなぁ」といった応援する気持ちで、食事を運んでやるようになりました。
食後、空になったお皿が廊下に置かれる。Mさんがそれを洗って片付ける。そんな習慣が定着したのですが、部活を引退すればまた一緒に食事を頂くようになると思っていました。
ところが、引退後は毎日、塾に通うようになり、夕食時に家にいることはほぼなくなりました。
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ダイエットしている?
いくら勉強が大変といっても、たまには家族で食事しないかとMさんが誘っても、娘はなんだかんだと理由をつけて、食事を部屋に持っていってしまうのです。
娘は少し痩せたように見えたのですが、年頃なのでダイエットをしているのかと思う程度で、Mさんはさほど心配はしていませんでした。しかし、たまたま着替えをしている娘を見てしまったとき、肩のあたりが細くなっているのに気づいたMさんは、話しをしようとしたのですが、振り切って出かけてしまいました。
「もしかしたら、行き過ぎたダイエットをしているのは?」。不安になったMさんは、いけないと思いながらも娘の部屋に入り、いろいろ見まわしてみたのですが、これといって気になるようなものはありませんでした。
家族と一緒に食事をしたくないのは、痩せたいから。娘に対して拒食症の疑いをもつようになったMさんの不安は募っていきました。
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家族との食事が嫌な理由は?
Mさんはこのような状況の中で、私のカウンセリングを受けに来られたのです。
娘が夜中に冷蔵庫を開けて食べているようだ。トイレで嫌な臭いがすることがある。娘の部屋のゴミ箱に、大量の菓子袋が捨てられているなど、拒食・過食症に見られる事象があるかたずねたのですが、それはないということでした。
だとしたら、ダイエットで食事を取らないのではなく、家族と一緒の食事が娘にとって何かしらのプレッシャーになっているのではと考える方が自然なようです。
Mさんの家族構成は夫、娘、長男、次女の5人です。娘が家族と一緒にいたがらない理由は思い当たらないと言います。
そこで、私はMさんに、食卓の雰囲気について話して頂くようお願いしました。すると、次のようなシーンが浮かんできたのです。
Mさん一家は大のスポーツ好きで、それぞれが実際にプレーヤーでもあります。親も現役、子供も大会に出場するなど、近所での評判のスポーツ一家なのです。当然、食事の最中もスポーツの話題で盛り上がる中、長女だけは運動嫌いなので加わることもなく、蚊帳の外でした。
話題に入れない娘に、夫も弟妹も言葉をかけるでもなく、悪気はないのですが、Mさんもそれを気にかけてはいなかったのです。
・孤立する娘
娘はもともと大人しい性格なので、家族が盛り上がっている中でも静かな方でした。それをいいことに、Mさん自身も「この娘はノリが悪いなぁ」ぐらいにしか思っていなかったのですが、もしかしたら、母親がそれを気付いてやらずに、孤立させてしまったのではと不安になりました。
Mさんがそこまで思い詰める必要はないのですが、娘はなんとなく食卓での自分の居場所がないと思うようになったとも考えられます。
しかしながら、理由をあれこれ考えたとしても、大事なのはこれからのことです。Mさんは、娘に謝りたいと言い始めましたが、まず、理由自体がはっきりしていません。食卓で娘が孤独を感じていたというのはあくまで想像であり、直接聞かない限り、真実はわからないのです。
そこで、Mさんと娘が二人きりになれるような状況はないか、伺ってみました。すると、そのような場面も、よく考えてみたらほとんどないということだったのです。Mさんの関心は、運動で遠征、大会出場などしている息子、次女の方にいっており、娘さんとの会話がほぼないことに気がつきました。
「もっと悪いのは、私自身が娘に対して関心が薄れているのを認めたくない気持ちがあって、向き合うことを避けていたのです」と話すMさん。
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娘との接点を探して
Mさんが話し出すと、全て自分のせいにしようとるす傾向があるのを感じた私は、なぜ、そこまで自分を非難するのかたずねてみました。
すると、Mさん自身、幼い頃から運動神経抜群で、運動会を始め活躍しており、スポーツが人格形成に多いに役立ち、自己肯定感を高めると確信していたのがわかりました。しかし、運動嫌いな娘は、Mさんに勧められても頑なに拒否していたのです。その結果、Mさんは自分の価値観を、娘に当てはめようとしても否定されるように感じ取っていたのです。
それはMさんの価値観を否定されたわけではなく、一方、Mさんが娘を否定しているのでもないこと。単に、娘の運動嫌いをMさんが受け容れるだけのことであるのを私はお伝えしました。
そこに気がついたのであれば、これからは新たな展開として、娘の大学進学という次のステージがあります。娘にしてみれば初めての経験であり、不安や心配も沢山あるでしょう。
その気持ちに寄り添える機会がMさんにはあるのです。
たとえば、娘が食事を持っていった後、「このおかずも作ったから」と言って、さりげなく部屋に持っていく。娘さんがもし食べ始めているのであれば、ベッドなど座るところを見つけて、ほんの少しの時間でも話す機会を持ってみるのもありです。
大学のオープンキャンパスがコロナで厳しくなっている中、パソコンで一緒に大学のサイトをのぞくこともできます。
大学でどんなことをやりたいのか、娘の夢をできるだけ具体的に話してもらうようにして会話は広がるでしょう。まずはそうしたことから始めてみたらよいのではないでしょうか」。
無理やり、娘を家族の食卓に引き戻そうとするのは無理かもしれません。ならば、できることから始めればよいのです。娘さんとの接点を探してみてください。
そうはいっても、なかなかそのきっかけが掴めない。言葉をかけようとしても、娘に無視されるなど、状況が厳しい場合は、私のカウンセリングをご検討下さい。現在の関係性を伺わせて頂き、接点となるきっかけを一緒に探してみませんか。
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娘をはじめ、人間関係で振り回されてしまうことに苦労している方は、こちらの「実践マインド・プログラム」をご検討してみて下さい。「振り回されないマインド」を手に入れて頂くお手伝いをさせて頂きます。
テーマ: 孤独感
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