娘に依存してしまう母親の心理とは?
2018.7.14 (2019.3.30更新)
娘に依存してしまう母親の心理とは?
2019年5月より母娘問題の連続講座を開催します。
2019年5月、関西在住の方向け、出張個人対面カウンセリングを行います。
2019年ゴールデンウイークは全日、営業致します。午前9時~午後9時まで。
母娘関係改善カウンセラーの横山真香です。
母親が娘に依存する。このテーマは母娘問題でもとくに大きなものの一つです。なぜなら、依存している本人にその自覚がないのが大半だからです。
最初のうちは一方の娘も気づいていません。そこで両者の関係は良好で、人も羨む仲良し親子と見られているかもしれません。
けれども、依存度が増すようになると当然もう一方は息苦しさを感じるようになります。
ある日、「この関係、もう我慢できない!」と娘が言ったとき、母親にとっては青天の霹靂、地獄に突き落とされたような気分になるのです。
先日、私のところに来られたクライアントのFさん(56歳)も、娘さん(28歳・研究職)のことでいつも頭がいっぱい、と言って苦しそうな顔をされました。
現在、娘さんは遠方で一人暮らしをしていますが、毎日何度もラインするFさんをだんだん疎ましく思っているようだと話します。
Fさんは夫と長男(25歳・会社員)と暮らしていますが、夫婦の会話はほとんどなく、長男は帰りが深夜なので顔を合わすこともないほぼない状況です。
Fさんは26歳のとき親から強く勧められ夫と結婚したのですが、どうしても心を開くことができず2年後に娘が生まれても夫婦仲はなんとなく冷めていました。
娘が生まれてからは全身全霊を注ぎ、育児に夢中になりました。その後長男も生まれたのですが、Fさんの関心はつねに娘にありました。
洋服、髪形、おもちゃ。経済的に余裕があったわけではありませんが、できうる限りで最良のものを選び与えました。
なぜか、子育ての情熱は長男の方には向けられませんでした。放任といえるほど、関心をもつことはなく、それは長男も大きくなるにつれ認識していたようです。
その分、娘に対する愛着は日に日に増すばかりでした。お稽古ごとを習わせ、その送り迎えももちろんFさんが行います。
親子一緒に商店街を歩いていると、「美人お母さんと可愛い娘さん」と店の人が声をかけてくれ、誇らしげな気持ちになったものでした。
学費の方は実家で何とか工面するからと夫を説き伏せ、娘には私立の学校に通わせました。夫は経済的な問題から娘を私立に通わせることに反対したのですが、実家の援助が得られると聞いて、Fさんの願いをしぶしぶ受け入れたのでした。
娘は頑張り屋さんなので、勉強も部活も一生懸命頑張りました。それがまたFさんの自慢の種になりました。
高校の同期達と食事をするときも娘の話ばかりするので、友人からは「また娘さん自慢が始まった」と言われていました。
中には「子供はいつか親元を離れていくものよ。そんなに娘さんばかりに入れ込んでいたら、将来あなたの心にポッカリ、穴があいてしまうことになるわよ」と心配してくれる友人もいましたが、「そんなことは考えられない」とFさんは笑い飛ばしていたのです。
そんなべったりの母親に対して、娘はときに苦笑しながら「お母さん、重すぎるよー」と軽く受け流すこともありました。それでも、母親の「今度の週末はどこに行く?」「おいしいパンケーキのお店がオープンしたから行かない?」という誘いに、友人とのつきあいをやりくりしながら一緒に行ってくれたのでした。
Fさんの夫婦関係は冷えきっていましたが、夫のことは動くATM、衣食住サポーターという割り切った見方をしていました。そして、自分の結婚生活を見つめ直すことは避け、娘さえいてくれれば人生に満足できていたのです。
しかし、そんな生活が一変する事態が起こりました。というのは、高校3年になった娘が進学先に選んだのは遠方の大学でした。Fさんは初めて娘に対し心底怒りが沸き起こりました。そして感情に任せて娘を罵倒したのです。
けれども娘の決心は揺らぐことはありませんでした。どうしても自分がやりたいこと、それを実現するにはそこの大学しかないと強い意思をもって母親を説得したのです。
やがてそれを見かねた長男が、娘が合格したらお母さんも何日か滞在すればいい、その間はおやじと二人で何とかするから、と言ってくれました。
その説得は、Fさんにとって新鮮でした。娘と遠い地で二人だけで暮らせる、たとえずっとではなくても、行ったり来たりするのもよいと思えたのでした。
娘は見事希望する大学に合格。4年間、Fさんは娘の所と行ったり来たりの生活が送ることができました。
その後、娘が学生生活を終えて実家に戻ってくるのを楽しみにしていたのです。ところが、就活を始めた娘から言われたのは、大学のある地で就職したいということでした。
Fさんは再び激怒し、「お母さんは絶対に認めないから」と娘に詰め寄ったのです。その時、娘は今までに見たことのないようなつらい表情でこう言ったのです。
目次
「お母さん、もう私を解放して。あなたから」
Fさんは頭をガツンと殴られたような気分でした。
娘は着々と準備をすすめ、就職先も決まり大学卒業後も家に戻ってはきませんでした。
Fさんにとってさらにショックだったのは、ワンルームマンションに引っ越した娘に「合鍵をちょうだい」と言ったとき、「渡せない」と拒絶されたことでした。
「仕事はかなりきつそうだから帰ってきてゆっくりしたい。もし、お母さんがこちらに来るならホテルを予約してね」と釘をさされたそうです。
娘が新社会人となってからも心配で、Fさんは連日ラインをするのですが、返信は2日に一度がやがて3日、4日に一度というようになりました。
「娘から完全に嫌われた」と思うFさんは、大きな孤独感と喪失感とでもって何もする気にならないと言います。
さて、ここで考えてみたいのは、Fさんの一番の苦しみは何でしょうか。
娘から距離を取られてしまったことでしょうか。
友人はいることはいますが、心を開いて話ができるのは娘だけということで、その機会が失われたことでしょうか。
今挙げたことももちろん、苦しみです。
けれども、そもそもFさんの苦しみの原因はもっと他にあるのではないでしょうか。
今まで自分の問題と向き合ってこなかったもの。自分の人生を満たしてこなかったもの。それは冷え切った結婚生活であり、長男のことすら放ってしまっていた事実。
Fさんはこの事実、苦しみから目を背けていたのです。
そして、苦しみの回避が娘に依存する結果となり、人生の穴埋めをしていたのです。
Fさんはこのことに気づいていません。
でも、これはある意味、娘の人生の乗っ取りです。なぜなら、Fさんは自分の人生を無意識に放棄して娘の人生を一緒に生きようとしていたわけですから。
この事実はFさんにとって非常につらいかもしれません。けれども、状況を認めない限り娘との関係は変わらないでしょう。
今後、娘からさらに「母親は重たい存在」と思われ、よけいに距離を取られてしまう可能性があります。
「娘の人生を一緒に生きようと思わなくても、私は自分の人生を歩んでいける」。
Fさんに必要なのは、覚悟とそれに対して勇気をもつことです。
私のカウンセリングでは、まず事実を認識して頂くことから始めます。
ここに抵抗を示す方は大変多いのですが、それは当然です。
けれども、抵抗する気持ちが何なのか、なぜそのような気持ちが生じているのかを丹念に解きほぐし、言葉にしてお話し頂くようになると、ご自身が避けていた問題と向き合う準備ができるようになるのです。
Fさんも最初はかなりの抵抗がありました。「自分は別に結婚生活についてはこれが自然だと思っているし、状況を変えようとも思わない。娘との関係でこちらに来たのに、なんで夫婦問題なのか。そんなことは相談しに来ていない」といったようなことを言われたのです。
そこで、まずは抵抗を外すことからセッションを継続していきました。そうして、Fさんは
少しづつ娘に負担をかけていたことに気づいていかれたのでした。
来月8月には、「依存」をテーマにした母娘問題講座を開催します。
もし、このブログを読まれてご自身と娘さんとの関係に重ねた合わせたときなんとなくモヤモヤしたものが感じられるようでしたら、今回の講座に参加されてみてはいかがでしょうか。娘さんとの関係を変えるきっかけになるかもしれません。
母親が娘に依存する心理、背景にあるものは何なのか。現在の関係をどのように改善していくかといった具体的行動を挙げながらレクチャーさせて頂きます。
「依存してくる母親との関係を変える3つのアプローチ」
日時2018年8月4日土曜日 午前10時30分~12時30分
場所 東京港区南麻布4-5-48 フォーサイト南麻布5階セミナールームD
(場所は「グラマラスエイチ広尾」で検索)
参加費 3000円
申し込み・お問い合わせ 横山真香 母娘関係改善カウンセラー
申し込みは私のhpより。またはお電話にて直接ご連絡くださいませ。
テーマ: 講演会・ワークショップ
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