気を遣い過ぎる娘、原因はお母さんのせいと言われて…
2020.6.2
目次
気を遣い過ぎる娘、原因はお母さんのせいと言われて…
母娘関係改善カウンセラーの横山真香です。
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夫、姑に気を遣う娘の態度が気になって
「●●さんの娘さん、よく気配りができるわね、本当に偉いわ」と、ママ友に褒められると嬉しくなりませんか。自分のことより、娘の方を褒められた方がより喜びが大きいかもしれません。
中には自身も実母から、「女性は、気がきかないとダメよ」とか「ボーッとしていないで、自分から気を配って動きなさい」などと言われてきたので、同じことを娘に繰り返し言う人もいます。なぜなら、それにより周囲の評価が得られると信じているからです。
実母の価値観をそのまま受け取り、娘にも教えなければという思いもあるでしょう。
先日、元町ルームにいらして下さった小堀さん(仮名・54歳パート)も、娘を育てるときはかなり厳しくしつけたようで、口癖のように「もっと気を遣いなさい」と言っていたそうです。
昨年、娘が結婚し、二世帯住宅に暮らす義理の両親や夫に気配りする様子を見ていて、最初のうちは「いいお嫁さんになれそう」と満足していたのです。しかし、会いに行くたび、娘があまりに周囲に気を遣う様子に、そこまでしなくてもいいのにと思うようになりました。
そこで、姑が自室に戻ったすきに、「そんなに気を遣うと疲れるでしょう。お手伝いさんじゃないのだから、もう少し座っていなさいよ」と注意すると、娘は口を閉ざしてしまいました。
帰宅して小堀さんが娘に電話をしたとき、気を遣い過ぎる話を蒸し返そうとしたところ、「だって、お母さんが気配りしなさいってずっと言っていたじゃない!」とものすごい剣幕で怒られてしまったのです。
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娘のためと思ってのしつけ
今まで自分に対して口ごたえしたことがなかった娘が、突然変わってしまったことにびっくりした小堀さんは、ショックで電話を切ってしまったそうです。すると、今度は娘から電話がかかってきて、「強く言い過ぎた」と謝ってくれるのかと思いきや、「今までずっと我慢してきたけど…」と話し始めたのです。
「子供の頃から、お母さんに『気を遣え』と言われ続けて一生懸命やってきた。しないと、お母さんの機嫌が悪くなるから。学校でも会社でも、自分のことは後回しで他人を優先する癖がついてしまった」
「夫やお義母さんは私に優しくて、『そんなに気を遣わなくていいから』と言ってくれる。初めてそんなことを言ってもらい、実家より今の方がよっぽどリラックスできる」
「お母さんは、子供の私に気配りさせたのは、自分がよい母親として周りから褒めてもらいたかったからでしょう」。そう言って、娘は電話を切りました。
とくに最後の言葉は胸に突き刺さりました。娘が成人したとき、社会に出て困らないように口を酸っぱくして言い続けてきたことが、よけいな事だったのでしょうか。
小堀さんは、いったい何のために娘を厳しくしつけてきたのか、わからなくなってしまったと言います。
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自分が言い過ぎたのではと反省するも…
娘が大人になったとき、周りから「よく気がつく人」と評価されるようになれば、人間関係も仕事もうまくいくはず、と小堀さんは思っていました。
しかし、目の前にいる娘はオドオドして見えるぐらい、他人に気を遣い過ぎる人になっていました。しかも、それを母親のせいだと正面から非難してくることに、娘が別人になったように感じたと話す小堀さん。
「結婚して、夫やお姑さんが味方になってくれたという思いもあるのでしょうか。急に、私に対して強気になってしまったようで」と言います。
小堀さんにしてみれば、「気を遣うように」厳しく言い続けてきたからこそ、「いいお嫁さん」として姑がよく思って接してくれるのではないか。それは私のおかげだと娘に気づいて欲しい気持ちもあるようです。「確かに、かなり強く言ってきたのは事実ですが」と話す場面もありました。
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娘の思いに気づいていない?
小堀さん母娘のような事例はよくある話です。「娘が結婚して何だか遠い人になってしまった。今まで従順だったのに、母親を非難するようになり、それは、もしかしたら娘婿や姑のせいかも」と思いたい気持ちもどこかにあるようです。
一方、娘は今まで母親の言うことが正しく、言いつけを守るのに必死でした。けれども、結婚して母親と同年代の姑や夫から、「そんなにしなくてもいいんだよ」と言われたことで、母親から受け継いだ価値観の一つが揺らいでしまったのです。
そのうちに、気がつき過ぎることがつらいと思うようになり、しつけの名のもとに言い続けてきた母親のせいと思うようになったのです。
小堀さんは、かなりきつく言ってしまったのは認めますが、間違ったことを教えたのではないと信じています。「気がきく」ことで、娘自身は周囲から評価されているではないか。なぜ、母親の私が責められるのか。こうした思いが大きくなっています。
これが母娘関係によくある温度差です。娘は息苦しさの原因を母親にあると思い始めている。母親は、信念に基づいたことをしてきただけで、それを非難してくるのはおかしいと思っている。
母娘の思いは平行線です。
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娘が何を思い考えているのか知ることが大事
思春期になっても親に反抗せず比較的大人しかった娘が、結婚して初めて口ごたえしたという話もよく伺います。母親は「娘の口ごたえ」と表現しますが、娘にしたら勇気を出して自分の気持ちを表明したということでしょう。
娘が自分に対して逆らったと思うと、怒りの感情がわくかもしれません。けれども、それまで素直だった娘の態度が変化したのはなぜなのか。娘の言うことは理解できないとシャットアウトする前に、もしかしたら、母親にずっと我慢してきたことがあるのか、冷静に考える必要があります。
そうは言っても、人は感情の生き物です。「娘が豹変したのがさっぱりわからない」、「言っていることが私への非難としか思えない」。そうした気持ちが渦巻くようでしたら、一度、私のカウンセリングで娘さんの心を読み取ってみませんか。奥にある心理、どのような感情、考えがあるのか、気づくことで、今後の距離感が変わってきます。それも早いうちに認識をあらためるべきです。
小堀さんの話に戻りますが、娘から連絡はきません。こんなことは初めてだそうで、さすがに小堀さんも心配になってきました。
2回目のセッションのときに、「私から娘に連絡を取ろうとは思っていませんが、こんなに長いこと連絡がないのはつらいです」と話します。
前回のセッションでは小堀さんの怒りに焦点をあてましたが、今回は娘さんの気持ちにスポットを当ててみました。娘さんに対する感情、反対に娘がご自分に対してどのような感情を持っておられるのか、ここは推測になりますがお話しされているうちに、「もしかしたら、娘は私に一番、気を遣っていたかもしれません。私の顔色をずっと窺っていたことに、今頃気づきました」と視点が変わってきたのです。
「娘がこれだけのことを言ったのは、ものすごく勇気がいったと思います。だって、私のことを怖がっていたでしょうから」
ここまで小堀さんの心境に変化が表れたら、あとは娘さんとの今後の関係性をどのように再構築していくかです。
ただ、その前に大事なことがあります。小堀さんは過去の言動を振り返り、娘の気持ちを少しずつ理解しようと思い始めていますが、一方の娘さんはまだその段階にありません。ここにもまた温度差があるのを、知っておく必要があります。
こちらが改善しようと努力しても、もう一方の気持ちがどの段階にあるのかを見極めながらそろりそろりと進むのが大事です。自分と娘、それぞれ今どの段階にいるのかわからない方は、私のカウンセリングを受けて頂くことで娘の気持ちが少しずつクリアになっていきます。それが、今の娘さんを理解し、今後の関係を変える第一歩になります。
※コロナの影響で対面をご検討の方もいらっしゃると思いますが、広尾・元町ルームともに万全の態勢で臨んでおります。対面カウンセリングでも、電話カウンセリング(ZOOM対応も致します)、ラウンジ、桜木町カフェカウンセリング、従来通りご予約可能です。
ご検討下さいませ。
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テーマ: しつけと虐待のすり替え
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