夫の愚痴を娘に言い続けた母親の代償
母娘関係改善カウンセラーの横山真香です。
娘に自分のパートナーの悪口を言っている、というケース。大変多いです。娘にとっては父親です。母親は、娘は自分を理解してくれるはず、味方になってくれるはず、悪口を言っても、娘は傷つかないはず、と思い込んでいます。
しかし、実際は、そうではないことも多いのです。「娘は~のはず」のつもりが、むしろ、反対に「愚痴を言っている母親はどうなのか」と厳しい見方をされることも。
もし、今現在、夫の愚痴を娘に言い続けているのであれば、このブログをぜひ、お読み下さい。そして、このまま愚痴を言い続けることで、娘との関係にどのような影響が出るのか、参考にしてみてください。
目次
・夫への不満を幼い娘に聞かせる
結婚してから、夫は変わった。上から目線でものを言う。子供が産まれても、関心がない。家事、育児、全て妻任せ。「人生の中で一番後悔すること、それは結婚」。とはいえ、専業主婦の自分には、稼ぐ力がない。離婚して、子供を育て上げるなんてとても無理だし、実家の親だって許してくれるわけがない。
世間体があるし、私が子供を連れて実家に戻るなんてとんでもないこと。だから、あんな夫だけど、我慢しなければいけない。
こうした思いが鬱積して、娘が幼い頃から夫の愚痴を聞かせてきた、という母親は多いです。こんなことを話せるのは娘しかいない。しかも、話すと、娘は「ママ、かわいそう」とか「ママ、私がいるからね」と優しい言葉をかけてくれる。
「夫のせいで自分一人、苦しんでいるのではない。私には娘という強い味方がいる。そう思うことで、苦しい結婚生活の日々を何とか、過ごしてきた」、と母親クライアントは言います。
・誰にも言えない孤独、娘だけにすがる思いで
結婚生活がうまくいかないことは、秘密にしておきたい、という人は多いです。「自分は不幸な人間と、他人に思われたくない」。「〇〇さんの結婚、うまくいってないみたいよ、と人に噂されたくない」。
実の親に話せば心配される。夫の不満不平は内側に向かうだけ。一方、成長していく娘には、愚痴が加速します。
「この子も、色々理解できるようになったのだわ」、「娘だからお父さんの悪口、言ってもいいわよね」という思いが膨らみ、娘にすがるような思いで、愚痴を話し続けることをしてしまうのです。
一方の娘も、母親の悩みを聞くことで、自分が頼りにされていると感じ、最初は一生懸命話を聞きます。母親も娘も、女性同士だからわかる、といった一種の連帯感をもつこともあります。
・娘からの拒否、「愚痴はもう聞きたくない」
しかし、幼い頃から父親の悪口を聞かされてきた娘に、母親の言動はどのような影響を与えるのでしょうか。
子供は親の言うことを一途に信じます。そこで、母親が悪口を言う父親について、悪い見方をするのは当然のことでしょう。けれども、やがて娘が成長するにつれ、自分自身の目で父親、家庭の状況を見ることができるようになります。
そうなると、ある疑問が生じるのです。
「お母さんからずっと、お父さんの悪口を聞かされてきたけれど、それはどのくらい事実なのだろう」
「お母さんは、あれだけお父さんの愚痴を言い続けているのに、なぜ、離婚しないのだろう。経済的な問題というけれど、私ももう社会人になったのに」
娘の中でこうした疑問がわいてくると、それまで「母親は可哀そうな人、私が味方になってあげなければ」という思いがあったのが、少しずつ変化していきます。
さらに、夫婦で旅行に出かけることもあれば、娘の中でモヤモヤした気持ちがより強くなります。
「あれだけ、お父さんのことを悪く言っておきながら、一緒に旅行に行くことができるじゃない」
これまで、どれだけの時間を母親の愚痴に付き合わされてきたのか。もはや、娘の疑念は怒りの感情に変わっていきます。
そして、ある日、娘が母親にむかってこう言い放つのです。
「お母さん、もうお父さんの愚痴は聞かないから」と。
・嫌悪感をあらわにする娘の心の内は?
母親は、娘の突然の宣言に最初は驚きます。しかし、「お母さんはお父さんのこと嫌いだろうけど、私にとっては、この世に一人しかいない父親。ずっとお父さんの悪口を聞かされて本当に嫌だった」という娘の言葉に、ハッと気づかされるのです。
その時、多くの母親がやってしまいがちなのは、一度は謝る。けれども、その後に必ず言い訳を続けてしまうことなのです。
「あなたを傷つけてきたのね。ごめんなさいね。確かに、お父さんは、あなたにとっては大事な親よね。だけどね、お母さんは本当につらかったの。お父さんの身勝手さ、家庭を顧みない…」とまた愚痴が始まってしまう。
「あなただけがお母さんの味方なのよ」と言ったとしても、もう娘の耳に響かないどころか、嫌悪感をあらわにされることも。
「そんなこと言ったって、大嫌いなお父さんと旅行に行っているじゃない。私にはさんざん言っておいて、どうしてお兄ちゃんや弟には、お父さんのこと、何も言わないの?」といったことまで言われるようになります。
この時点で、父親の愚痴は二度と娘には言うまいと、決心すべきなのです。なぜなら、娘の本当の気持ちを知った以上、それを尊重すべきだからです。
この時の娘の気持ちの状態を想像したことはありますか?
嫌悪感を隠さずにいる娘の心の内は、母親への軽蔑があります。「愚痴を言い続ける人。それでいて、問題解決をしようとしない。世間体がこわくて、離婚もできない」といった辛辣な見方をしている娘が多いです。
娘からこのように思われてしまう、これが「代償」なのかもしれません。夫の愚痴を娘に言い続けていると、結局は娘が母親に対して、嫌悪感をもつ、軽蔑することになりかねないのです。
・娘との関係性をどうやって修復するのか
娘が母親のことをこのように負の感情で見るようになってしまうと、今後の母娘の関係性に大きく影響します。もしかしたら、娘は母親を避けられるようになるかもしれません。
このまま、娘との関係に溝ができたままでよいのでしょうか。ぎくしゃくした関係性を変えるには、娘の見方を変えることがポイントになりそうです。
それでは、どうやって娘に見方を変えてもらうことができるのでしょうか。
前述したように、母親の多くは、一度は娘に謝ります。けれども、その後に言い訳をしてしまうケースが多いと書きました。
「娘に愚痴を言い続けたことを謝った方がよいか、悩んでいます」という母親クライアントさんは多いです。何かのきっかけに、愚痴を言い続けてしまったことを後悔している、あるいは謝りのメッセージを伝えることも大事です。さらに、前述したように、その後に言い訳をしようとはしないことです。言い訳は、自分がしたことの弁解となり、「結局、謝ると言っておきながら、自分がしたことを正当化したいだけじゃない」と娘に思われる可能性が高いです。そうなると、かえって、距離を広げることになりかねません。
謝った後は、言い訳をしない。そして、その後に、何度も謝ることはしないようにします。
謝りの言葉を繰り返すと、言葉自体が薄っぺらく取られてしまいます。
もちろん、ここが一番大事ですが、夫の愚痴を娘に言うのはやめましょう。また、他の人の悪口も、です。ご近所、親戚、娘にとっての祖父母など。結局、悪口を言うことは、言っている本人自身の信用を貶めます。
聞いている側にしたら、決して楽しい話ではありません。
では、一切、口をつぐまなければいけないのか、という質問がきそうですが、そんなことはありません。信頼関係を構築している友人や、結婚カウンセラーなど、専門家に心の内を話すのはもちろん、ありです。
娘は、母親が苦しんでいることはよく理解しているのです。問題は、状況を変えようとせず、ただただ愚痴を言っているだけの母親の態度が嫌なのです。それなら、愚痴を言い続けるより、言わないようにするには、どうしたらいいのか、何から変えたらよいのか。そちらに視点を移してみせんか。
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。