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母親の「子育て成功」願望が娘をつぶす
母娘関係改善カウンセラーの横山真香です。
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周囲に認めてもらいたかった私の子育て
娘との関係がうまくいっていない母親クライアントさんの多くが口にされるのは、「自分の子育てが正しいことを証明したかった」という言葉です。どういう意味かというと、「すごいわね、娘さん」とか「さすがね、あなたの育て方が良かったのね」といった周囲の称賛が欲しかった、認められたかった。そのために、娘を厳しく育てたのだが、今、娘はそれがしんどかったと私に言ってくるということなのです。
なぜ、クライアントさん達はこのような考えをもつようになったのでしょうか。
多くの方に共通しているのは、「私は今まで褒められたことがなかった。親、先生、職場、夫からも『お前はできない』と見下されてきた。結婚して出産、生まれてきた娘を見て、多くの人から『すごく可愛い、赤ちゃんモデルになれるね』『おとなしくて、育てやすいでしょう。うらやましいわ』と言われることが多くなり、初めて褒められる心地よさを感じた」という点です。
今まで、注目されることもなく、親や夫などから否定の言葉ばかり浴びせられていたのが、「可愛い女の子のママ」ということで、周囲の視線が全く違ったものになったのです。
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コンプレックスを子育てで挽回
いい意味で注目されるようになると、この状況がいつまでも続いて欲しいと願うのは当然かもしれません。「〇〇ちゃんは偉いね」「よくできるね」。保育園、幼稚園、小学校と、娘の成長に合わせて褒め言葉も違ってきますが、注目度は高いまま。
こうなると、娘に付加価値をつけたい母親の熱意は一層強くなります。学校の成績、行儀のよさ、容姿、お稽古事。つねに高く評価されることを娘に要求します。そして、多くの母親が後になって口にするのが、「あの時は私が夢中になってしまい、娘に色々求め過ぎた」という後悔です。
やがて娘はそんな母親に反発するようになり、それまで「いい子」だったのが、反旗を翻すようになります。
「ママがこんなには厳しくするのは、みんな、あなたのためなのよ。本当はもっと優しくしてあげたいの。でも、あなたがもっと成長するように、成功できるようになるために、ママは心を鬼にしているの」といった母親の言葉は、娘には言い訳としてか聞こえなくなっているのです。
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母親の虚栄心を見抜く娘
「一体どのように子育てをしたらあんなに素晴らしい娘さんに成長するのですか?」、ママ友達が尊敬の念で声をかけてくる。母親の自尊心をくすぐられる瞬間です。
けれども、成長した娘には、母親の本心が見えているのです。褒められたいのは、本当は母親自身のことなのだと。もしかしたら本人は気づいていないかもしれません。一生懸命子育てすることで、結果が出せると思い込んでいるのですから。
自分が努力してやってきた子育ての結果を出す。
そもそも、この考えは、どうなのでしょう。子育てって、結果が出せるものなのでしょうか。
私のカウンセリングルームに来られるクライアントさんは、母親、娘サイド、それぞれの立場でいらっしゃいます。
娘サイドのクライアントさんは、「子供の頃、母親は本当に厳しかった。テストでどんなに良い点を取っても、バレエで主役になっても、第一志望の大学に入っても、絶対に褒めてはくれなかった。それなのに、親戚や自分の友人には、私のことをよく自慢していた」
「私は、母親の自慢の材料にさせられていた。そのために、あんなに叱られ、叩かれ、罵られ、今の私は自己肯定感が低く、人の顔色ばかり気にして、人生が楽しいなんて思えたことがない」と言います。
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過去をリセットしたい母親の気持ち
一方、母親サイドのクライアントさんは、娘から言われたことで、自分の「子育て成功を証明したい気持ち」に気づく人も多いです。
「あなたのために、と言っていたけど、本当は自分のためにしていたことだよね」。娘から言われて、初めて自分の本当の気持ちがわかった人もいます。そんな母親クライアントさんが望むのは、過去をリセットしたい欲求です。多くの方が口にされるのは、「過去に娘にしてしまったことを謝って、何とか私を許して欲しい」という言葉です。
けれども、過去、娘に対して言い放った暴言や、手をあげてしまったのは事実なのです。それを記憶から消すのは不可能です。
「過去をリセットし、娘との新しい関係を築いていきたい。なぜなら、私は以前の私とは違うのだから」と話す母親クライアントさんもいます。「こんなに変わった私は、きっと娘とうまくやれるだろう」、そういった思いを強くされるようです。
確かに、クライアントさんは変わったかもしれません。でも、娘は変わっていないのです。
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焦る気持ちは、娘をよけいに遠ざける
母親サイドのクライアントさんにお話しを伺っていると、娘に許して欲しい、早くこの状況を変えたい、街中で見かける仲良し親子のように娘と一緒に外出したい、そういった焦りが伝わってくることがあります。
しかし、ここで立ち止まり考えて頂きたいのは、過去の事実が積みあがってきた母娘の時間です。母親から言われたこと、されたことが、娘の物事の捉え方、考え方、感じ方などパーソナリティの形成に影響を与え、関係性が成立しています。
母親だけが、「自分は変わったから。もう昔のあんなお母さんじゃないから」といくら言ったところで、娘のパーソナリティはそのままなのです。
娘にしたら、お母さんは、自分の子育て成功を証明したくて、あんなに厳しくあたったくせに、今度は仲良し母娘を演じたいから、「ねえ、許してよ。仲良くしましょうよ」と言っているようにも聞こえ、自分の都合だけ押し付けてくると受け止められかねません。母親の焦りが、娘にはさらに嫌悪感を抱かせてしまう可能性があります。
それでは、娘が今の母親を受け容れられる可能性はほぼないのでしょうか。
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信頼関係を再構築するには
私はないとは思いません。娘も、母親を許せない怒りの気持ちでいるよりは、怒りの感情から自分を解放したいはずです。絶対に許せない、といった頑なな気持ちは、マインドの状態としてよいとはいえないからです。でも、だからといって、人の心はすぐには変えられないことも、理解すべきです。
となると、娘の気持ちが変わるまでじっと何もせず待つしかないのでしょうか。そうではなく、現段階で一つの目標を持って欲しいのです。それは、信頼関係の構築です。今、娘は母親に対して、許せない、怒りの気持ちでいっぱいかもしれません。
私がカウンセリングで感じるのは、母と娘の信頼関係が破綻してしまっているケースが多いことです。娘は、母親に対する不信感でいっぱいなはずです。
では、娘の信頼を得られるようにするには、どうしたらよいのでしょうか。
それは、母親自身が他人の価値観に振り回されない自分軸を作ることなのです。そもそも、子育て成功を証明したいという欲求は、他人の評価を意識しているからでしょう。そうではなく、「私はこれでいい」と思える実感です。その軸ができてこそ、娘から「お母さん、何か変わった」と見直してもらえることができるのです。
「自分軸を作る」とは、抽象的な表現ですが、要は人から振り回されず、「私は私」でいられるということです。
カウンセリングとは別メニューで行っている「実践マインド・プログラム」は、こうした方のためのものです。最初に行うのは、自分の性格傾向を把握すること。これを行うと、自分を客観的に眺められるようになり、グラグラしているマインドの軸ができるようになります。
今回のブログを読んで頂いて、自分に当てはまると思われた方は、実践マインド・プログラムのご案内をご覧ください。
娘さんとの関係性を変えるきっかけになるはずです。
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