「実母と性格が似ている」と娘に言われた嫌悪感
母娘関係改善カウンセラーの横山真香です。
実母との折り合いが悪く、自分の子供にも、悪口を言い続けてしまった結果、孫が祖母のことを毛嫌いするケースがあります。しかし、子供が成長し、母親と祖母の関係を客観的に見ることができるようになった時、思いがけない言葉を口にすることがあります。
「ママは、おばあちゃんの悪口をよく言うけど、それ、ママもそっくりだよ」
これは一番言って欲しくない事だった、とショックを受け、カウンセリングに来られるクライアントさんも珍しくはありません。今回は、このテーマを取り上げてみます。
目次
・過干渉は孫にも
「実母は過干渉で、私が結婚、出産した後も、家が近く、アポなしでしょっちゅう来ます」と話す40代のクライアント。部屋の様子を見ては、掃除がなっていないの、勝手に冷蔵庫を開けて、食材が少ないの、小言の連続。子供が小さかった頃は、共働きで保育園に預けていたため、どうしても送迎を頼まなければならない時もあった。
やがて、子供が小学生、中学生になっても、いまだに家にやって来て、孫の世話を焼こうとする。
孫達にも、あれこれ指図しようとするので、「おばあちゃん、来ないで欲しい」と子供達は思っているようだ。
・実母の干渉で夫とぎくしゃく
実母の出入りが頻繁なので、夫も当然、快くは思っていない。さすがに、週末は来ないものの、電話はかかってくる。こちらが頼んでもいないのに、親せきから野菜が届いたので、取りに来いとか、すき焼きをするからみんなで来たら、とか、誘ってくる。
夫は、クライアントが、実母からの電話で呼び出されたりするのも不満で、「何の用なんだ、わざわざ行かなくてもいいじゃないか」と言う。
また、クライアントが実家から帰ってくると、ため息をついたり、いら立った様子なので、子供達も、「ママがおばあちゃんちに行くと、いつも機嫌が悪くなって帰って来る」と言う。
夫が、「いい加減、お母さんにはっきり言ったらどうだ。出入りするのを少し控えて欲しいと」と言うが、そんなことを言えば、実母は怒り狂うだろう。
実母と夫との間で板挟みになるストレスで、よけいイライラが募ると、今度は子供達に当たってしまう。もう、ティーンエイジャーなので、あれこれ言うことはないのに、つい些細なことで怒ってしまう。
・「ママもおばあちゃんそっくり」にショック
こうした状況が続いていたのだが、クライアントは、実母との関係ばかりに注意を向けていた。頭の中には「実母が嫌だ、干渉されたくない。でも、言い出せない」といった悩みがぐるぐる回っていた。
しかし、そんなクライアントにある日、耐えがたいショックな事が起こる。それは、実母からではなく、娘の発言だった。
ある日、また実母がアポなしでやってきて家に上がり込み、「孫娘の服装が派手過ぎる、そんな服をよく買ったね、あんた(娘のこと)が子供の言いなりになっているから!」と言い捨てて帰っていった。
実母に言い返すことができず、ぐっとこらえる感情が、娘への怒りに変わる。「捨てなさい、こんな服!」と、実母に言われたワンピースをソファに投げつけた時、娘が言った。
「ママもおばあちゃんと同じ。怒るとカッとなって、大声出すし、物を投げるよね」。
その後も、イライラして娘に文句を言い続けていたとき、「ほら、そこも似ている。ずっと文句を言い続けるの、おばあちゃんとそっくり」
クライアントにとって、一番言われたくない事だったからこそ、よけいに娘から言われたのは痛烈だった。
「あの母親に、私が似ているなんて、ぞっとします。それを娘に言われたことがショックだった」。
・いつまで我慢するべきか
クライアントが来られたのは、私のカウンセリングを受けられたのはそうした状況の中でした。
「ずっとずっと、母親のことばかり気になって、娘や夫のことは見えていませんでした。娘は、私のことをそんなふうに(祖母と母親が似ている)思っていたのです」。
しかし、娘の言葉は、クライアントが実母との関係を見直すきっかけになったのだ。
「私が我慢すれば、我慢すれば、とそればっかり思っていました。でも、私だけでなく、夫にも子供達にも影響が及んでいたことに、気づいていませんでした」
とはいえ、長年にわたり高圧的な実母に、自分の言葉で何かを言うことはハードルが高い。
このような場合は、実母に対して、自分がどのような感情を持っているかを客観的に把握してみるのが大事なのである。
「怖い、嫌い、いら立つ、」そうしたキーワードを挙げていくうちに、実母への自分のイメージが具体化する。とくに、一番大きな感情の部分が何かが明確になると、実際に存在する実母に対し、また、異なる見方ができるようになる。
ここが実母との関係性を変えるスタート地点になるのだ。
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