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母親を大嫌いなのに、離れない娘

母親を大嫌いなのに、離れない娘

 

母娘関係改善カウンセラーの横山真香です。

 

母娘問題に特化したカウンセリングを20年近くにわたり、行っています。数多くのご相談を伺ってきましたが、共通点があるものも。その一つが、「母親を大嫌いなのに、なぜか離れない娘」です。

 

今回は、このテーマを取り上げてみたいと思います。

 

・「お母さんとは縁を切る」と宣言するが

 

娘クライアントさんが母親のことで悩み、カウンセリングを利用すると、カウンセラーはお話を伺った上で、最後に「お母さんと離れたら」とアドバイスすることがあります。

一緒にいることで摩擦が生じ、片方が、またはお互い傷つくなら、別々に暮らした方がよい。もちろん、物理的に可能ならば、ですが、母娘が離れることで、苦しみを軽減することが可能になることもあるからです。

私もカウンセラーとして活動を始めた頃は、状況にもよりますが、「お母様と離れるということも検討の一手段では」とお伝えしたこともあります。

 

実際に実家を出る人もいますが、一方で、「離れたら」という勧めには、ためらう、というよりは、嫌悪感を示す人もいます。

 

娘が母親から「離れる」とは、実家を出て一人暮らしを始める、といった物理的に距離を取るものから、同居でもなるべく、一緒の空間にいないようにする、あるいは別々に暮らしていても今までのように頻繁に連絡を取るのは避けるなど、様々なやり方があります。

 

娘クライアントさんは、カウンセリングの最初で、さんざん、母親を非難し、自分はこれだけ我慢してきた、もう、限界、そして、縁を切ることも考えていると話します。

 

当初は、強い覚悟をもってカウンセリングに来られる方が多いのです。しかし、カウンセリングを重ねていくうちに、強い口調がトーンダウンします。

 

時間の経過とともに、人の心が変わるのは当然で、母親への見方、捉え方、感じ方なども変化します。クライアントさんと接していて、少し、落ち着かれたのかな、と思うこともあります。

 

しかし、だからといって、母親への怒りや憎しみが完全になくなったというのではないのです。

 

・カウンセラーを替える

 

これは、母親クライアントさんから伺った話です。母娘の関係が悪化し、最初、娘さんが別のカウンセラーのところに通い始め、その後、母親クライアントさんは私のところに来られるようになりました。娘さんは毎回、カウンセリングから帰宅すると、「やっぱりお母さんが悪い、ってカウンセラーが言っているわよ」と勝ち誇ったように言うのだそうです。

そして、3回目に通ったとき、「カウンセラーから、『お母さんと離れた方がいい』って言われたわ。私に悪影響を及ぼすからって」と娘さんが言ったそうです。

 

これを聞いて、母親クライアントさんは、正直、ホッとしたと言います。「ここまで嫌われているなら、離れて暮らすのもあり、なのかも」。そう思った瞬間、何とも言えない解放感に満たされたそうです。

 

ところが、娘さんは一向に出ていく気配がありません。社会人4年目、自宅通いのおかげで、貯金もあるはずだし、以前から一人暮らしをするというのが口癖だったのに。

そのうち、娘さんはカウンセラーを別の人に替えたそうです。それまで行っていたカウンセラーが最後は、母親と離れるべきだと言うばかりなので、嫌気がさしたということでした。

 

こうして、娘さんは、新しいカウンセラーのところに通うようになり、「やっぱり、お母さんのこと、悪い親だと言っていたわよ」と言ってきました。しかし、何回か行っているうちに、「あなたがお母さんに依存している。離れられるなら家を出た方がよい」と言われるようになり、不機嫌になって帰ってくるようになりました。

 

そして、前回と同じく、「もう、あのカウンセラーの所には行かない」と言って、結局、カウンセリングを受けること自体、やめてしまったのです。

 

・離れないのは、母親への執着

 

母親クライアントさんはため息をついて、次のように言われました。「正直、娘には出て行って欲しい。不機嫌な顔をして、うまくいかないことは全て母親である私が原因という、子供じみた発言に、我慢の限界がきています」

 

実は、娘さんのこうしたケースは多いのです。母親のことが嫌いで、実家を出ることは可能なはずなのに、母親のそばを離れない。

 

なぜ、娘は母親から離れようとしないのか。その理由については、大きく2つあると私は今までのケースから感じています。

 

一つは、娘の、母親への執着です。母親のことが大嫌いではあるけれど、一方で、母親のことが気になって仕方がない。母親を非難し、拒否したいのですが、頭の中では母親のことばかり考えています。

 

だから、母親が自分に対して言ったひと言に飛びついてしまうのです。「お母さんは、私にこう言ったけど、それはどういう意味?」、「あの時、ああ言ったのはなぜ?」。娘に問い詰められても、母親の方は、そこまで大事なこととは思っていないので、ほぼ忘れていることも多いです。

 

すると、「私のことなんか、どうでもいいと思っているから、忘れているのでしょう」とか、「いつもいい加減に答えているから、質問に答えられないのでしょう」と責めてきます。

 

「何気なく言った私のひと言であっても、娘にとっては、ものすごく重要なことらしく、そんなに重く受け止めなくてもいいのに」と母親は思うのですが。

 

それだけ、母親が娘に対してどう思っているか、どのような態度を取るのか、非常に気になるのです。

 

・いつも、私のことを考えて

 

もう一つの理由は、母親に、自分の存在を忘れさせないようにするためです。もちろん、母親が娘の存在を忘れるわけはありません。しかしながら、娘の方は、四六時中、自分のことを考えていて欲しいのです。

 

家族の中でも、自分を一番に思って欲しい。母親を独占したい気持ちが強いです。このように書くと、「娘は母親のことが好きで好きでしょうがないのでは?」といった疑問がわくかもしれません。

 

けれども、必ずしもそればかりではないのです。

 

以前、娘クライアントさんが言われた言葉です。

 

「こんなに母を嫌いでも離れない理由は、仕返しです。過干渉で私を苦しめてきた母が、のうのうと暮らすなんて許せない。私が出てい行けば、娘との問題など忘れ生活を楽しむでしょう。でも、目の前にいる娘のつらい様子を見れば、このような状況に追い込んだのは、母親である私のせいだと、自分を責めることになります。そのために、私は母親のそばにいるのです」

 

母親を嫌いなはずなのに、離れない娘。このようなケースは、決して少数ではないのです。

心の中では、娘に離れて欲しいと願う母親。離れたいけれど、離れられなくて苦しむ娘。

 

つねに、本心を探りあっている母と娘。この関係に息苦しさを感じているのは娘の方でしょう。なぜなら、心の中でつねに葛藤しているからです。

 

母親と離れたい。母のことを四六時中考えるのは、やめたい。母の言葉を思い出して、そこからまた考えが広がっていくのを止めたい。それなのに、気が付くと、また母親のことを考えているからです。

 

この思考癖をやめるべきだとは言っていません。ただ、それが苦しいのならば、一度、母親のことを徹底的に客観的に眺める作業にトライしてみませんか。

 

〇×△子 何歳。 仕事は〇×。家族は〇人。〇×県在住、△県出身。

 

こうして、紙に書いていくのです。どこの学校を卒業し、どこに就職し、いつ結婚したのか。出産はいつ、何回。白い紙に書き出されたその歴史を、母としてではなく、一人の女性として俯瞰してみましょう。

 

思いがけず、冷静にいられる自分がいるかもしれません。

 

または、一人でこの作業を行うのが難しいと感じるのであれば、私の母娘関係改善カウンセリングもご検討ください。感情の波に戻されてしまいそうな状態から、引き返すことが、カウンセリングの体験からも可能なはずです。

母娘関係改善カウンセリングのご案内はこちらになります。

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