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仲良し母が過保護に見える、娘の心境の変化とは?
母娘関係改善カウンセラー横山真香です。
・一卵性双生児といわれた母娘の仲がこわれた
母娘問題を専門にカウンセリングを行っている私は、母親、娘、両方のクライアントさんからご相談を受けます。
中でも多いのが、関係性がとても良かったのに、今では正反対のようになってしまったというご相談です。
「最近まで娘とはとても仲が良かったのです」
「母と私はまるで姉妹みたい、と言われるほど、いつも一緒でした」
ところが、何かをきっかけに、関係性がガラリと変わってしまうケースがあります。きっかけは色々ですが、共通点として挙げられるのは少し前からコミュニケーションが変化していたということです。たとえば、以前は言い争いなどなかったのが、ちょっとしたことで口論になる。
そんなつもりで言ったはずではないのに、相手が誤解して受け止めてしまう。そこから、「どうして、そんなふうに思うの? お母さんはそういう意味で言ったわけではないのに」、「またそんなふうに受け取る。お母さんはいつもそうなのだから」
ささいな事がきっかけだったのに、お互い、言葉がしんらつになり、最後はまるで人格攻撃のようになってしまうのです。
・大好きだった母が別人のように見える
「あんなに好きだった母親が、今は何か言ってくるたび、うっとうしい、話しかけないで、と思ってしまいます」。このように話す娘のクライアントさんもいます。
外出する際、着る服をコーディネートしてくれた母親。センス抜群でおしゃれな母が自慢だったのに、今では洋服のことで何か言われると、「いちいち指図しないでよ」、「おっせかいでしかない、うるさい」と思ってしまう。
どうして、母親への見方がこんなにも変わってしまったのか、自分でもわからないと娘さんは言います。
一緒にいたときは楽しかったのに、今は近づいてこられるだけで嫌悪感。なぜ母のことが嫌になってしまったのだろう。寂しそうな母を見ていると罪悪感で押し潰されそうになるけれど、やっぱり母親とは距離を置きたい自分がいる。
・娘は大人になってからの反抗期?
一方の母親は、娘が自分を避けていることがわかってくると、ショックを隠せません。最初のうち、不機嫌なのは彼との間で何かあったのもかも。それとも、仕事がストレスなのかしら、といったように、別の理由を想像していて、まさか自分のことだとは夢にも思っていないのです。
けれども、日にちがたっても、娘の態度は変わらず。よそよそしくて、目を合わせようともしない。外出するとき、以前なら「今日は何時に帰るよ」と言ってくれたのに、今は、「行ってきます」の挨拶すらなく出て行ってしまう。
思い切って母親が、「不満があるなら言ってよ。以前と態度が全然ちがうじゃない」と話しかけても、「別に」だけ。顔をそむけスマホをいじっている。
「娘は十代の頃、反抗期というのがほとんどなくて、それが今になって来たのでしょうか」と言う母親もいます。
母親クライアントさんの多くは、娘の態度が変わった理由を、「今ごろになってやってきた反抗期」と受け止めたい傾向があります。
なぜなら、反抗期と思う方が、気持ち的に楽なのです。「今頃になっての反抗期なのか。いつ、おさまるのかしら」といったように、娘の態度も時がくれば元に戻る。反抗期といった一般論に置き換えることで、「どこの母娘にもありがちなこと」と受けとめやすくなるからです。
・母親への見方が変化する
「私だって、母親をいじめたくてこんなことをしているのではない」。娘クライアントさんのほとんどがこう話します。
理由はわからないけれど、今までに感じたことのない母親への拒否感がある。
このようなモヤモヤした状態で、カウンセリングを進めていくと、少しずつ見えてくるのは母親に対する見方の変化です。
「母はなんでもわかってくれる人だと思っていた。私の一番の理解者であり、応援もしてくれる。友人だと、嫉妬されることもあるから、話の内容に気をつけなければいけないこともあるけど、母親には何でも話せる」と言うのですが、その見方が変わってしまったというのです。
たとえば、娘に彼氏ができたとき。今まで母親と一緒だった外出が、彼と付き合うようになってからはデートが優先。「また今度の週末も彼と出かけるの?」と不満げに言ってくる母。
または、娘の仕事が充実してきた場合。忙しくなって残業続きだけど、やりがいがあって面白い。休みの日もスキルアップのため勉強するなど、自分の時間が必要になっている。
前ほど、母親と一緒におしゃべりしたり、外出することが減ってきている。娘の生活スタイルが変わってきているのを、母親としては素直に受け容れられないようなのです。
娘には不満を言うわけではないのだけれど、不機嫌になっていることに母親自身は気づいていません。自分がなんとなく娘から置き去りにされた感覚があっても、それを認めたくないのです。何かひと言、言いたい気分になってしまう。それが嫌味であったりするので、娘の方も気分がよくない。
「母には何でも話していましたが、最近は、すぐ機嫌が悪くなり、一緒にいるのが苦痛になってきました」。
娘にしたら、母親と距離を取るようになったのはそれなりの理由があるわけで、「娘の反抗期」とはいえない状況があります。
・周囲が変化していく中で
娘の態度が変わる。なんとなく、母親と距離を取ろうとしているのがわかる。もう一つの理由は、娘自身がいつも母親とべったりという関係を見直すときにきているからです。仲がよかった友人や職場の同僚が結婚や出産し子育てに忙しい。周囲が変わっていく中で、自分は相変わらず母親と外出。旅行も母親と一緒。20代前半と後半とでは、友人達の状況がどんどん変わっていく一方、いつまでたっても変わらないのは自分だけ。焦りもありますが、それよりも強くなってきているのは、「私って母といつも一緒。それってどうなの?」といった疑問です。
母親は娘の気持ちの変化に全く気づいておらず、今まで通り、娘が外出するなら、つい
「どこに行くの? 誰と?」と聞いてしまう。
「駅まで車で送ってあげるわよ。帰りも遅くなるなら、ラインして。迎えに行くから」。母親が当たり前のようにしてくれていた事が、娘には重たく感じられ、世話をやかれるのが息苦しくなる。
「私のことはほっておいて。私、もう子供じゃないのだから!」
「今までは、私のことをいろいろやってくれている母に、感謝と、喜んでくれているならそれでいいかといった気持ちがありました。でも、今はそれが全て過保護からきているとしか思えなくなっているのです」
・反抗期ではなく、自立ととらえて
ここまでこちらの記事を読み進めて、「もしかしたら思い当たる」という方は、今、娘は、母親からの精神的な自立を試みようとしていると捉えてみるのはいかがでしょうか。
私が今回、この記事を書いたのは、あるクライアントさんの事が心に残っているからです。その方は50代後半、独身の方でした。最近、80代もお母様を亡くし、母ロスで私のところに来られたのですが、伺ってみるとその方の人生は母親だけだったと言えるほど、二人だけの世界を形成していました。
母親は、クライアントが赤ちゃんのときに離婚しました。自身の親や姉妹ともほぼ絶縁状態で、母と娘だけの生活でした。どこに行くにも母と一緒。二人でいれば楽しくて、娘は彼氏を欲しいとは思いませんでした。結局、結婚はせず、母親が亡くなり、気づいたら心を打ち明けられるような人は誰もおらず、娘自身が孤独の世界に取り残されてしまったのです。
「お母さんはよかった、いつも私がいたから。でも私は今、たった一人になってしまったのです」。
あなたの娘さんは、あなたがこの世からいなくなることを想定して、急に態度を変えたというわけでは決してありません。
ですが、仲良し親子というのは、いいことばかりではないこと。娘が、母親との関係性を見直したいというのであれば、それは尊重すべきかもしれません。
娘は母親とこのまま距離を取り続けようと思っているわけではないのです。これからの関係性を見直すためにも、今ここで、お互いの状況を変える必要性を感じているのであって、それは次のステージにいくためにも大事なことなのです。
現在、娘(または母親)との関係がぎくしゃくしているけれど、何が原因なのかわからない。相手がどうして欲しいのかも想像がつかない、という方は、私のカウンセリングで一度、状況を客観的に見てみませんか。あなたが気づいていない変化が娘には生じているのかもしれません。
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