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娘が結婚後に姑と仲良くなり、疎外感を抱く実母の心理とは
母娘関係改善カウンセラーの横山真香です。
- 週末には一緒に外出、仲良し親子だったのが…
娘とは周囲もうらやむ仲良し親子だったのに、結婚したら夫の家族との付き合いが増え、実家にはほとんど帰らなくなってしまった。そんな娘の変化に驚き戸惑い悩む母親は少なくありません。
先日、電話カウンセリングをかけてこられた九州在住のしのぶさん(仮名・50代)も、20代後半の娘との関係は良好と信じていました。週末に誘えば必ず買い物や映画にも付き合ってくれて、こちらの話もよく聞いてくれました。
しのぶさんの職場ではノルマが厳しく、社員同士の足の引っ張り合いなどもあり、気の抜けない環境でした。そんな仕事の愚痴に始まり、家族とあまり関わろうとしない夫の悪口などを娘に話すことで、しのぶさんにはいいストレス解消になっていたのです。
せっかくの休みではありますが、誘えば滅多に断ることなく付き合ってくれる娘も、自分との外出を楽しみにしていると思っていました。
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結婚をきっかけに変わった娘の態度
そんな娘も20代後半にさしかかった頃、友人の紹介で知り合った男性と結婚することになりました。毎週末は、結婚のための準備で娘は婚約者と出かけるようになり、しのぶさんにとっては嬉しいことではありましたが、一方で寂しい気持ちも隠せませんでした。
時々、娘に向かって、「いいわよね、楽しそうで。お母さんとあれだけ出かけていたのに、私は忘れられてしまったのかしら?」など、意地悪とはわかっていてもつい嫌味を言ってしまうのでした。
そして、無事、挙式も済ませ娘夫婦は同じ県内のマンションに暮らすようになりました。車ならば約1時間の距離なので、しのぶさんは娘とちょくちょく会えると期待していました。
しかし、その思いは裏切られ、娘の休みに「たまには会わない?」と誘っても「家事がたまっていて疲れている」とか「夫の用事で一緒に外出しなければいけない」と断られてしまうのです。
新婚生活は何かと不慣れなこともあるだろから家事も手伝ってあげよう。お総菜の差し入れもしようとしのぶさんは思っていたのですが娘の声雰囲気から、新居に来られることが迷惑そうなのが電話を通して伝わってくるのでした。
2カ月程たった頃、しのぶさんは旅行に出かけたときのお土産を娘婿の実家に送りました。その実家は、娘達の家からは車で30分程なので、「お姑さんが度々来ないといいわね」と冗談半分、娘に言ったこともありました。
2日後、姑からお礼の電話があったのですが、しのぶさんが驚いたのは娘夫婦と親しく行き来しているという事実でした。
姑は決して自慢げにというわけではなく、嫁である娘が週末ごとに訪ねてくれる事に心から感謝してくれているようでした。しかし、しのぶさんの中には怒りの感情がわいてきたのです。
「どうして、実の母である私ではなく、姑の方ばかり行っているのかしら。それも私には嘘をついて」
感情的になったしのぶさんは、娘が仕事中にもかかわらず電話をしてしまったのです。もちろん、留守電になっているのでメッセージを何度も入れてしまいました。
「どうしてお母さんを避けるの?」「なんで姑さんのところにはよく行くくせに、実家には帰ってこないの?」「今日中に必ず電話して!」
そして、同じことをメールでも何本も送ってしまったのでした。その夜、娘からは電話もメールも返信はありませんでした。
「もしかしたら具合でも悪いのかも」。とう思ったしのぶさんは、今度は娘の自宅の固定電話に連絡しますが、こちらも留守電になっています。
「きっと、家で寝ていて電話にも出られないのだわ」
そう確信したしのぶさんは車を運転して娘のマンションに向かったのでした。しかし、オートロックのため何度押しても返答はなく、結局、帰ってきたのでした。
そして、気づいたのです。娘からの着信メールがあることを。そこには次のメッセージがありました。
「しばらくメールも電話もかけてこないでください。私からもしません」
このメッセージに驚いて、しのぶさんは私の電話カウンセリングに連絡して下さったのです。
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娘は夫の両親に気を遣っているのだと思いたい実母
「娘はとても気を遣う子なのです。だから、夫の両親にも気に入ってもらわなければと思い、週末ごとに通っているのです。娘がかわいそう」そう言って、涙声になってしまったしのぶさん。
「娘婿がもっと気をつけてあげればいいのに。自分の実家ばかり行くなんて」と怒りの方向は娘婿に向かっています。
それならなぜ、娘はしのぶさんからのメールや電話を受けようとしないのでしょうか。気を遣い毎週末に夫の実家に行くことは、実母に話してもいい事ではないのでしょうか。
実はしのぶさんの娘のようなケースはかなりある話です。
母親は娘との関係は良好だと思い込んでいた。しかし、娘が結婚しもう一人の母親ができた事で、今まで実母にいかに気を遣っていたのか、我慢してまで付き合おうとしていた事に気づくのです。
姑と話してみるとよほど楽しいし、緊張もしない。お母さんってこんなに優しくて、明るくて、人の悪口も言わない。おしゃべりしていて楽しいと実感すると、当然のように夫の両親の方に足が向きます。
それと同時に、今までごく当たり前と思っていた実母の性格や考え方、価値観などに改めて目が向き、疑問やときには嫌悪感を抱くようになってしまうのです。
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娘の変化がターニングポイント
母娘問題はいつ噴出するか。それは母親、娘にとってのベストなタイミングで表れると私はつねづね思ってきました。
しのぶさんは気づいていなかったけれど、娘の方では今までかなり母親に対して気を遣い、調子を合わせていたはずです。
実の母としてはきつい事ですが、事実を認める気持ちの準備をした方がよいのです。
なぜなら、娘の気持ちを誤解したままでは、この先の展開に期待はできません。
娘が「メールしないで」と送ってきたのはよっぽどの覚悟があるはずです。その気持ちと向き合わず自分に都合のよい考え方をすれば、娘からは「お母さんは相変わらず変わっていない」と思われるでしょう。
娘の態度の変化に動揺するより、まずは落ち着いて今までの関係性を振り返ってみるのが大事です。
もしかしたら、娘さんは外出を断ると母親の機嫌が悪くなるから、休日、無理して付き合ってくれていたとは考えられませんか。
母親はおしゃべりを楽しんでいると思っていますが、話の内容が毎回、父親や職場、ご近所さんの悪口ばかりで、娘は内心、辟易していたのではないでしょうか。
振り返って、娘の表情を思い出してみて下さい。本当に母親との外出を楽しんでいたようでしたか。
何か一つでも思い当たるような事があれば、それは娘との今後を見直すサインです。自分のこれから、娘との今後を考え直すタイミングと捉えてみて下さい。
やり直すチャンスはいくつでもあるのです。
今回のブログを読んで頂き、「もしかしてこれ、私にも当てはまるかも」と思われた方は、お電話カウンセリングで状況をお話しされてみませんか。
事実を冷静に見るのは、母娘関係の場合、難しいことがよくあります。お電話カウンセリングによってご自分のお気持ちを整理され今後の娘との接し方を考えるきっかけにしませんか。
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