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「母親なら娘のこと、わかるでしょ」に追い詰められる母親

「母親なら娘のこと、わかるでしょ」に追い詰められる母親

 

母娘関係改善カウンセラーの横山真香です。

 

  • 娘に問題があると、母親の影響が疑われる

 

娘が学校で何か問題を起こしたとき、母親が行くのが当然のように思われています。そして、多くの母親が、娘の起こした問題は、自分の責任のように感じてしまうのではないでしょうか。

 

「友達にきつい言い方をしている」「教室に入りづらいらしく、保健室に行きたがる」。

 

こうした娘の様子を教師から聞かされると、「私の、娘に対する接し方がいけないのだろうか」とか、「家庭の雰囲気が娘に悪影響を与えてしまっているのかも」など、なぜか自分に関連づけて考える母親が多いようです。

 

教師が何か言ったわけでもないのに、「先生はきっと、娘が母親とうまくいっていないのでは、と思っているかも」と思い込む人もいます。

 

医療現場でも同じようなことがあります。食欲がない娘を、クリニックに連れていったときも、さりげなく家庭の様子を聞いてくる医者に対して、母親の心はざわつきます。

 

「それって、母親の私に問題があるってことなのかしら?」

 

そうして、医者も、「お母さん、あなたが娘のことをわかってやれなくてどうするのですか。母親であるあなただけが、娘さんのことを理解できるのだから」と言ってくるのです。

 

「娘のことは、母親が一番よくわかっているはず」。世間は当然のようにそう思っているのです。

 

  • 「母親なのに、私の気持ちがわからない」と娘から責められる

 

当の娘も、母親なら自分のことがわかると思っています。「こんなに苦しんでいる娘の気持ちがわからないのか」「どうして、私を理解してくれないのか」。

 

「娘と母親とは一心同体、言葉で言わなくても、気持ちは伝わるはず」。なぜか、そう思う娘があまりにも多いのです。母親自身も、「娘のことは、私が一番よくわかっているはずだ。なぜなら、私が産んで、育てて、今の娘がいるのだから」と思い込んでいるのです。

 

だからこそ、娘から「なんで私のことをわかってくれないの」、「どうして、理解してくれないの」と言われると、自分が母親失格であり、いけない親なのだと責めてしまうのです。

 

また、教師や医者から、「娘さんに寄り添ってあげられるのは、お母さん、あなただけですよ」と言われると、そうしなければいけないと強く思ってしまうのです。

 

  • 「母親は娘の一番の理解者」という思い込み

 

「母親なら娘のことは一番わかるはず」

 

本当にそうでしょうか。親は母親だけではありません。なぜ、父親のことはほとんど出てこないのでしょう。異性だからわかるはずがない? 私のカウンセリングで伺ったお話しの中には、父親の方が娘のことを理解していると思われるケースもあります。

 

同性だからといっても持って生まれた気質、性格や相性によって、必ずしも母親と娘の仲がうまくいくとは限らないのです。むしろ、父親の方が、娘の考えていることがわかり、理解しているにも関わらず、世間一般は、なぜ、娘は母親が見守るべき、寄り添うべきと考えるのでしょうか。

 

こうした一般論を理由に、逃げる父親も大勢います。「お前が母親なのだから、娘のことは一番わかるだろう。俺は男だからわからないよ」という言い訳を、当然のように言って、問題を抱えている娘を妻にまかせっきりにする夫も存在します。

 

  • 母親でも娘のことがわからなくて当たり前

 

娘から「私のこと、わかってよ」と言われると、多くの母親が「娘のことがわからない私はいけない親だ」と自分を責めます。

 

それでは、娘は、自分を理解してもらうために、色々話をしてくれていますか。学校や友達、職場、彼氏のこと。どれだけ、娘の状況を把握できていますか。

 

自分のことをあまり話さない娘もいます。自己開示したがらない、内面に入られるのが嫌というタイプです。学校や友達のことも、自分から話すときはありますが、母親がたずねても、「別に」、「違う」、「そう」と答えるだけ。会話が続かないのです。

 

母親は「娘は、自分のことを色々聞かれるのが嫌なのだ」と思うようになり、それからは話しかけるのに気を遣うようになります。終始、娘がムスッとした表情でいれば、言葉もかけづらくなります。

 

カウンセリングでも、娘さんの状況を伺うと、「わからないのです、学校のことは話してくれなくて」、「仕事がうまくいっているのか、全然知りません。帰宅したらすぐ自室に直行するので」。という母親クライアントも沢山います。

 

娘が「お母さんは、私のことをわかってくれない!」と爆発しても、「(だって、あなたは何も話してくれないじゃない。こちらが何か聞けばうるさそうな顔をするし)」と言いたい気持ちを抑え込み、「この子は私に何を訴えたいのだろう」と母親は一生懸命、理解しようとします。

 

けれども、そうしたタイプの娘の気持ちを読み取るのは無理なのです。そもそも、娘からの情報提供が不足していますし、精神的な深い話をあまりしていない状況で、いくら娘が「私のことを理解してよ」といったところで限界があります。

 

一方で、娘がどんなに訴えても、母親が向き合おうとしない場合もあります。それはたとえば母親が娘に関心をもたないネグレクトなどが考えられます。

 

しかし、ここでは、母親として娘と向き合いたい。努力はするものの、娘は自分の気持ちをオープンにすることはしない。それなのに、「お母さんは私のこと、何もわかっていない」と責めてくるケースを取り上げています。

 

  • 自分の気持ちを言語化できない娘

 

娘から、教師から、医者から、夫から、祖父母から「娘のことは母親であるあなたが一番よくわかっているのだから、見守るべき」と言われ、自分を追い込んでしまう人が、私のカウンセリングルームに数多く来られます。

 

「娘のことがわからない私が悪い。でも、何とか向き合わなければ」と必死なのです。

 

そのようなクライアントさん達に、私は「母親でも、娘のことがわからなくて当然です」とお伝えしています。

他人に自分を理解してもらうには、自己開示の必要があります。自分のことを話さず、「私のことをわかって欲しい」と言うのは、無理な話です。

 

娘から責められたとき、「あなたが私に伝えたいと思うことを話してみてよ。話してくれないと、私はわからない」と言ってみましょう。おそらく、娘は「そんなこともわからないのか。母親ならばわかるだろう」と言うかもしれません。

 

娘がそう答えたなら、実は本人自身が母親に何を伝えたいのか、わかっていないのです。本人がわかっていないのに、他者である母親がわかるはずがありません。

 

母親に寄り添って欲しい気持ちはあるはずですが、具体的にどうやって欲しいのか、本人は言語化できないのです。

 

これをわかったふりして、「あなたの気持ちはこうなのね」と言うと、「全然違うよ!」とさらに怒り出す。「そうなのね」と相槌を打てば、「うなずくばかりで、わかったふりしないで!」とキレる。

 

「一体、どうしたらいいの?」

 

これが正直な母親の気持ちです。この状況は、3歳児が気持ちをうまく伝えられず、駄々をこねているのと似ています。

 

  • 見放すわけではない

 

そこには娘の甘えがあるのです。理解してほしいのならば、自分の気持ち、感情、考え、何にひっかかってしまっているのか、伝えるのを努力すべきです。

 

母親は「そうしてくれないとわからない」と言っていいのです。そこには時間をかけるのも大事です。もともと自分を表現するのが苦手な娘なら、言葉選びに時間がかかるかもしれません。それでも、理解しようとしている母親の気持ちは伝わるはずです。

 

このプロセスを飛ばしてしまうと、娘はメッセージを伝える努力をせずに、母親に理解しろと無理な要求をしてきます。母親は、不可能なはずなのにできない自分を責め、結局、その繰り返しになります。また、この関係性は、娘の依存を強化してしまうことになります。

 

「わからないと言うと、見放したと思われる」と言う母親クライアントさんがいますが、決してそんなことはありません。コミュニケーションには、伝える努力が必要なのだと娘にわかってもらう必要があります。

 

そのためには、今までのコミュニケーションのやり方を見直す必要があります。

 

「では、どうやって? どうしたら、娘が気持ちを伝えてくれるだろうか」。そこに迷われたら、私のカウンセリングをご検討ください。

 

今まで数多くのケースを通して、娘の性格、考え方、言動、どのようなパターンがあるのか、様々なタイプを把握しています。それを理解した上で、娘との新たなコミュニケーションを見出して頂くカウンセリングを提供しております。

 

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