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母親への怒りを抱えていた娘にどう接すれば?

母親への怒りを抱えていた娘にどう接すれば?

 

母娘関係改善カウンセラーの横山真香です。

 

  • 出産予定の娘が実家に戻らないと言い動揺する母親

 

先日、電話カウンセリングで次のようなご相談がありました。「今秋、出産する娘から連絡があり、『産後、実家にいるつもりはない』と言われたのです。私は娘が帰ってくるものとばかり思っていたので、本当にびっくりしてしまって…」とかなり動揺されている様子が電話口からも伝わってきます。

 

クライアントMさん(59歳・パート勤務)の一人娘(35歳)は5年前に結婚し妊娠がわかりました。不妊治療を続けていたこともあり、娘夫婦もそれぞれの両親も大喜びで、初孫の誕生を心待ちにしていたのです。

 

「娘が実家に戻るのは当然でしょう。産後すぐには動けないので、私が手伝ってやるつもりでいたのに。」

 

さらに詳しい事情を伺うと、娘さんからの連絡は電話ではなくメールでした。そこには、「今までお母さんの言う事を散々聞いてきたけれど、もう我慢できない。出産前に時間ができて色々考えていたら、子供の頃にお母さんに言われた事を思い出してしまい、つらくてしょうがない。しばらくは顔を見たくないし声も聞きたくない」という内容でした。

 

Mさんは話し続けます。「私、一人娘のあの子をどれだけ大切に育ててきたことか。一度だって手を挙げた事はないのです。それなのに、なんでこんな事を言われるのかわからない」。

 

実は、Mさんのように、娘からいきなりこのような事を言われても心当たりが全くないと首をかしげる母親は多いのです。

 

  • 娘への声がけを言葉の暴力だと認識しない母親

 

Mさんは、娘さんが子供の頃、身体的暴力は一切していないと断言しています。けれども、声がけはどうだったのでしょうか。

 

今、このブログを読んでくださっているあなたは、娘が小さかった頃に、どのような言葉をかけていたか覚えていらっしゃいますか。

 

Mさんに同じ質問をしたところ、「ほとんど覚えていない」と言われるのです。必死に子育てしていた当時、どんな言葉をかけていたかなんて今更思い出せない、と。

 

けれども、そこでさらに次のように伺うと、ハッとされる方が多いのです。それは、

「子供さんに対して、褒めた事が多かったですか。それとも注意する事が多かったでしょうか」

 

「そういえば、子供って何もできないと思っていたらから、いつもあれダメ、これダメって言っていたような気がします」と声が小さくなります。

 

それは子供への否定につながっていた可能性があります。

 

「そんな事はあなたにはできない」「そんな事をするなら、お母さん、あなたにがっかりだわ」

 

言葉によって否定された相手は、行動を止められた事より、自分が受け容れられなかったと感じる可能性があります。ここに溝が生じているにもかかわらず、母親は全く気づかないまま同じ言葉を繰り返すのです。

 

  • なぜ、娘は今まで何も言わなかったのか

 

母親が動揺するのは、いきなり娘からの「距離取ります」宣言で、「なぜ、今?」という気持ちも強いです。

 

「今まで私は娘とは仲良し親子だとばかり思い込んでいました」。Mさんはショックを隠せません。「それがなぜ、このタイミングで? 娘はもうすぐ母親になるのです。人生の中で一番私を必要とするときなのに」

 

しかし、我慢を重ねてきた娘にとっては今、このタイミングなのです。

 

大きくなっていくお腹をなでながら、「私、いいお母さんになれるかな」、不安と期待と入り混じった気持ちが交錯します。

 

ふとした瞬間、自身の記憶がよみがえるのです。

 

「ダメって言ったでしょう。何度言ったらわかるの!」

 

母親のヒステリックな声が耳に響きます。もう何十年も前の事なのに。

 

それでも当時のシーンが再現されるのです。母親は決して手は挙げない。でも、机をバンと叩く。それだけで、幼い娘には恐怖です。怒りで険しくなった母親の顔。かん高くて大きな声。

 

すでに自分は大人になっているのに、怖い気持ちが蘇る。

 

怖れの気持ちの一方で同時に浮上するのが母親に対する怒りです。あんな小さな子だった私に、繰り返し傷つく言葉を投げかけてきた。どれだけつらかったのか、あの人はわかっているのだろうか。

 

こうした感情がMAXになった時、「あの人を許せない」。今まで言わずにいた我慢が堰を切ったように怒りとなって爆発します。

 

  • 修復を焦るよりまずは娘の怒りと向き合う

 

娘の突然の怒りに動揺する母親の多くは、すぐにでも仲を修復したいと焦ります。その気持ちの底には「娘は出産を前にしてきっと気が立っているのだわ。一時的な迷いでしょう」と自分に都合よく考えます。しかし、実際は娘がここまで決心するに至った経過があるわけで、それを無視しているのです。

 

関係修復を焦るばかり、夫や娘婿、他の子供達、あるいは自分の姉妹などに話して仲を取り持ってもらおうとするのは、よく考えた方がよいでしょう。

 

娘は母親とのこじれた関係について、話が広がるのは好まないからです。むしろ、周囲には知られたくないと思うでしょう。娘の気持ちも理解できず、あちらこちらに事情を話すのは、余計関係を悪化させます。

 

ここは落ち着いて、まず娘さんの怒りの感情と向き合うべきです。何も娘さんと直接会う必要はないのです。それよりも、なぜ娘が突然そのような事を言い出したのか、過去の関係を思い出し、娘さんがどのように受け止めていたのかを想像してみる事が大事です。

 

今は娘さんの気持ちを尊重し決心を受け容れましょう。しばらく距離を取ることが、そのまま気持ちが離れてしまうと思いがちですが、決してそうではありません。今後の母親の対応によってそれは違ってきます。

 

電話の向こうのMさんの声は最初、かなり取り乱した様子でしたが、お話しされるうちに、状況が少しずつ見えてきたせいか、冷静さを取り戻されたようでした。

 

「娘を失うぐらいに考えてしまい、パニック寸前でした」と話すMさん。今後、自分がどうすべきか、考える余裕ができてきました。

 

Mさんのケースのように、娘が突然、怒りの感情を表すことがあります。娘の抱く怒りについて、次回の母娘講座で取り上げます。どのような経緯があって怒りを持つようになったのか、なぜ今までそれを隠していたのか。娘さんの感情の背後にある心理を探ってみたいとは思いませんか。タイトルは娘さん向けとなっていますが、もちろん母親サイドの方のご参加も可能です。この機会にご検討してみてください。

 

母娘問題連続講座 第5回

「理不尽な母への怒りを何とかしたい娘の感情コントロール術」

~母の言動に傷つけられた怒りとどう向き合うか~

日時2019年10月19日(土)10:30~13:30

場所 東京都港区南麻布グラマラスエイチ5階

   セミナールームD

講師 母娘関係改善カウンセラー 横山真香

受講費 5000円

お申込み  090-5206-8576 直接、お申込みされるかSMSで受付ております。

または私のホームページからお願い致します。

子供の頃、母は機嫌が悪くなると私を家から閉め出し、「お前なんか生まれて来なければよかった」と罵った。あの時の言葉が忘れられず、怒りにふるえる。一方でいつまでも怒りに縛られている自分も苦しい。どうしたら

この感情に対処できるようになるだろうか。過去から私を自由にするための実践行動メソッドをお伝えします。

 

次回の講座ご案内

第6回講座11月17日(日曜)

午前10時30分~13時30分 

会場 グラマラスエイチ5階

受講費 5000円

「母親と精神的に距離を取る時に

生まれる罪悪感を軽くする方法」

 

[email protected]:
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